第271話 結婚式までにやるべき事

「さあクリフさん。説明してくれますか?」


「うん。結婚指輪の素材を取りに行った時の事はみんなに話したよね。その時にキューブ様が結婚祝いに俺の領地にダンジョンをプレゼントしてくれるらしいんだ。」


「「「「「「「「ダンジョンをプレゼント⁉」」」」」」」」


「うん。それでね。俺が攻略したダンジョンの内容は説明してなかったよね。そのダンジョンは簡単に言うと死なないんだ。」


「「「「「「「「死なない!?」」」」」」」」


「クリフ。そんな事がありえるの?キューブ様って奈落の底にいた遊戯神よね?」


「ナリア。その事も驚きましたがダンジョンを領地内に作る事が本当にできるんですか?」


「落ち着いて。ちゃんと説明するから。」


席を立って詰め寄ってくる嫁たちとサラサ、ライシャを宥めて席に着かせる。次いでにスイムとクインにお願いして全員に飲み物を持ってきてもらった。


「さて落ち着いて聞いてね。キューブ様にもらうダンジョンは不思議なダンジョンって言って、そこにダンジョンがあるんじゃなくて、俺の領とキューブ様のダンジョンを繋ぐ感じなんだ。だから俺の領に設置する事ができるんだ。そして、死なないって事だけど、死んだら入口に戻されるんだ。なんて言っていいかわからないけど、自分の分身がダンジョンを攻略するイメージかな。死んだら分身はいなくなるけど、本体はそのまま、みたいな。」


(ゲームがない世界で説明が難しいな。入るとレベル1になるとかは今は言わない方がいいか。ダンジョンを設置したら入口に説明書きを置いて周知するようにしよう。)


その後、セリーヌ達の質問に一つ一つ答えてダンジョンの件はなんとか理解してもらえた。


「やっぱり圧倒的に人が少ないわね。」


「我の眷属ならいくらでも増やせるぞ。」


「そうだな。グランに頼ることになるかもしれない。」


「クリフ。それはダメよ。」


「えっどうして?」


「たしかにグランの眷属は役に立つわ。護衛にメイド。この屋敷にいるほとんどが今はグランの眷属だもの。でも大きなデメリットがあるわ。」


「デメリット?」


「経済が回らないのよ。護衛騎士だって人を雇えば給金が発生する。給金を得れば消費する。そうやって経済は回るのよ。だけどグランの眷属は経済を回さない。そうなると領都はうまく回らないわ。」


(そりゃそうだ。ナリアのいう通りだな。便利だから今後もグランを頼ろうと思ってたけど、こりゃダメだな。護衛騎士、街の警備、メイドなんかもちゃんと人を雇わないといけないか・・・でも人な~。経験ないからよくわからないんだよな~。)


「たしかにナリアのいう通りだね。俺が間違ってたよ。」


「グランには悪いけど、今後はグランの眷属は無しにしたほうがいいわ。」


「そうじゃな。ナリアの言うことは正しいのじゃ。我の眷属は影の部分で役立たせる事にしようかの。」


「そうね。それなら問題ないわ。」


「でも人か~・・・あんまり充てがないんだよな~。今いる人をスカウトすると、そこの街が困るだろうし・・・」


「クリフ。それなら奴隷はどう?」


「そうよ。私の所でも使用人なんかは奴隷を使ってるわよ。役立つかどうかはわからないけど、育てれば問題ないんじゃない。もちろん募集をかけるのもするけど、平行して行えば。」


(奴隷か。たしかにジャンヌの言うように奴隷の可能性を考えてなかった。奴隷の欠損を直して忠誠心を高める。俺を神みたいに崇める集団だな。これはテンプレだ。おっなんか色々浮かんできたぞ。どうせならスラムとか孤児を集めるのはどうだろう。俺なら鑑定が使えるからある程度の人物像がわかる。奴隷にスラム、孤児なら集めても苦情がくる事はない。これなら一気に人を増やせるぞ。)


「ジャンヌ。それで行こう。それに今思ったんだけど、スラムにいる人とか職に困ってる人を集めるのはどうだろう?それなら揉める事もないだろ?それに孤児院を作って子供を育てるのもおもしろそうじゃないか?」


「いいわね。食料とか治安の問題はあるけど、難しい所にはグランの眷属も使えるし。」


「食料なら、私達の大陸は自然に恵まれてるので多少はお手伝いできると思います。」


(うんうん。たしかに世界樹の森は自然の宝庫だ。食料なんかもこっちで買い取れば良い交流になりそうだ。)


「たしかに王都でもスラムや孤児は常に問題に上がってるわ。今のここなら職を見つける事もできるでしょうし、住居はクリフ様やグランがいればなんとかなりますね。できれば住居も大工をやとった方が良いとは思いますが・・・」


「始めはクリフさんとグランを頼る形で後々は大工を使うって事でどうでしょう?」


「そうだね。私も明日にでも家に帰ってお父様に聞いてみるよ。」


「そうね。ソフィアの言うように、それぞれが家に帰ってまずは相談ね。」


クリフがボールド領、セリーヌは王都サリマン、ユーナは聖都クリスティン、ナリアは帝都テキサス、ジャンヌはユーティリア領、ソフィアはアルベルト領でそれぞれ、スラム、孤児、奴隷について相談する事になった。その間、グランはサラサとライシャとともに世界樹の大陸で食料関係の調査をする。


1か月後に結婚式を控えるクリフ達だが、自分たちの領をよりよくする為に更なる行動に出るのだった。


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