第231話 招待状は配ったぞ。次は・・・
結婚式までは後9カ月、参加者に結婚式の日程を伝える為、クリフは招待状を届けていた。もちろん婚約者の親達や友人達は、すでに結婚式の日程は知っているが招待状を送るのはマナーの為、クリフは転移魔法で世界各地を移動した。
始めはもちろん親のいるボールド領へ向かい招待状を渡した。親へ招待状なんかいるの?口頭だけでよくない?とクリフは思っていたが、クリフは親元から独立して貴族となっているので必要だ。とセリーヌに言われていた。
久々の家族との再会でクリフは辺境の領都ボールドで数日過ごした後、王都、帝都、聖都とそれぞれの親達と友人達、関係のある人達に招待状を配って行った。
行く先行く先で町を見学し、婚約者の親と話をして領地経営の仕方を学びクリフはエターレインの町へ戻ってきた。町といっても領主邸であるクリフの屋敷は城だ。しかも急速に町は発展していこうとしていたのでいつまで町と呼べるかわからないが・・・
「おかえりなさいクリフさん。」
「ただいまユーナ。ようやく招待状を配り終えたよ。」
「はい。教皇様から聞きました。教皇様も喜んで参加するって言ってましたよ。」
「うん。他の人もみんな参加してくれるって言ってたし良かったよ。」
クリフがいない間は、移動が必要な時はグランがそれぞれをつれて転移してくれていた。そしてそのグランだが・・・
「クリフさん。グランがまだか。まだか。って言ってましたよ。」
「そっか・・・うん。わかったグランは今部屋かな?」
「はい。お願いしますね。グランももう準備はできてますから。」
「うん。」
(スイムとクインはそんな感じじゃないけど、やっぱりグランはそうだよね。最近のグランの言動を見てたらさすがに俺でもわかるよ。でもスライムとの結婚ってどうなんだろ?そりゃラノベなら定番だし、いつものモンスター娘との結婚はテンプレだろ?って思うけど、正直グランって俺より強いしどっちかと言えばハーレム枠じゃなくて師匠枠なんだよな~。まあ直接話してみたらわかるか。俺も避けてた所があったからな。)
セリーヌ、ユーナ、ナリア、ジャンヌ、ソフィアとの結婚が決まってから、グランとはあまり話をしていなかった。もちろん、エターレインで城を作る時は一緒だったので、けっこう同じ時間を過ごしてはいたが、いつもと違う態度にクリフは戸惑っていた。
始めは、セリーヌ達との結婚が気に食わないのかと思っていたが、話をすると顔が赤くなりもぞもぞしだしてすぐに離れていく。そんな事が何度も続けばクリフも嫌われていないというのは理解していた。しかも離れていくのに、クリフを見かけると声をかけてくるのだ。返事をすると、すぐに逃げ出すのだが・・・
「グランいる?」
「ミャスター!?い、いるぞ。」
(これだよ。噛み噛みなんですけど・・・どうしてこうなったんだろ?)
クリフはグランの部屋に入った。グランはソファに座って本を読んでいた。
「そこに座っていい?」
「もも、もちろん良いぞ・・・ど、どうしたのだマスター?」
「じゃあちょっと座らせてもらうね。」
クリフはグランの隣に座った。そして・・・
「最近グランの様子がおかしいから話をしに来たんだ。現に今だっていつもと話し方が違うんじゃん。何があったのかなって思ってね。」
「そ、そ、そんな事ないぞ。我はいつ、いつもと一緒だ。」
「いやいや全然違うじゃん。」
「そ、そうだ用事があったんだった。マスターすまない。」
グランが部屋を出て行こうとしたので、クリフはグランを手を掴んだ。
「どうせウソでしょ。バレバレだよ。今日はとことん話そうと思ってきてるんだから観念して全て話してよ。」
そして、グランが話してくれるのをずっと待つ。すると・・・
「実は・・・」
そう言ってグランは静かに話し始めた。
・
・
・
「なるほど。そういう事か・・・」
「うむ。」
グランから話を聞いたクリフは、今までのグランの言動に納得がいった。どういう事かというと、グランはセリーヌ、ユーナ、ナリア、ジャンヌ、ソフィアからクリフとの生活を何度も聞かされ、更にはグランもクリフの婚約者にって提案されていたらしい。
始めはグランも興味ないと突っぱねていたが、日に日に念話で話される惚気話に段々とクリフの事を意識するようになっていった。
3000年を超えて生きるグランにとっても初めての経験であり、どうしたら良いかわからない状態になっていた。
(グランは俺にとっても大事な人だ。まあセリーヌ達に負けじと美人だし、テンプレ通りと言えばそうなんだけど・・・正直5人も6人も変わらないよね。それに、モジモジしてるグラン超可愛いし!!)
「グラン。俺と結婚してくれないか?俺にはすでに5人相手がいるけどグランの事も大切にする。俺よりグランの方が強いから守るって言うのも変かもしれないけど、何かあった時に守れるようにグランよりも強くなる。だから・・・俺と結婚して下さい!」
クリフはグランの話を聞き、グランの想いを知った。それと同時に自分のグランに対する気持ちを考えた結果、プロポーズする事にしたのだった。
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