第193話 獲得経験値倍増⁉テンプレ発動か・・・

「できた!!」


15階層まで攻略し、コテージで休んでいる中クリフは黙々と一人部屋の中で作業をしていた。


「なんとか一日で作る事が出来たな。やっぱり異世界小説を読む漁っただけはあるよ。」


クリフはセリーヌ達の戦力を強化する上で何をすれば良いか一日考えていた。その中で思ったのが、異世界テンプレでよくある、経験値促進系のスキルだ。よく取得経験値10倍とか、必要経験値10分の1とかあるアレである。


クリフは創造魔法でそういった魔法が作れないかコテージの中でひたすら試行錯誤していた。そして、あーだこーだ言いながら魔法を完成させたのだった。


「クリフ様?どうしたのですか?すごい大きな声が聞こえてきましたが?」


クリフが大声を出したので、セリーヌが心配して部屋を見に来た。クリフはドアを開けて、


「セリーヌおはよう。ちょうどよかった。みんな起きてるかな?」


「はい。朝ごはんの準備をしてる所でしたので。」


「よかった。話したい事があるんだ。」


クリフはセリーヌと共に、ナリアとユーナが朝ごはんを並べているダイニングテーブルに向かった。


「おはよう。」


「おはようございます。クリフ様。何か大きな声が聞こえてきましたが何かあったんですか?」


「うん。その事でみんなに話があってね。でもせっかく作ってくれたんだし、とりあえず朝ごはんにしようか。」


クリフは朝ごはんを食べ終え、お茶を飲みながら話を始めた。


「昨日セリーヌ達を鍛えながら攻略していくって話をしたでしょ。それで僕も何か手伝えないかと思って一日考えてたんだ。それで、思いついた事があって一日試行錯誤してさっき出来上がった魔法があるんだ。」


「魔法・・・ですか?」


「うん。感覚共有って魔法なんだけど。」


クリフは開発した感覚共有について説明した。クリフは経験値10倍と取得経験値10分の1のスキルを作りたかったが、作ったとしてもそれはクリフ自身にしか適用されない可能性があると思い、どうにか3人に同じような効果のモノを与える事ができないか考えて付与魔法で魔法を付与する事を思いついた。


自分のアイテムボックスを見ながら何か良い物がないか見ながら、そこに入っていた一つの商品に見て、そして、自分が身に着けている指輪を見て、閃いた。指輪はどんなに離れていても念話ができる指輪で、女神様からもらった物だ。


どこにいても念話ができるという事は、どこにいても繋がっているという事。それはつまり、相手の経験を自分の得ることができるのではないか?とクリフは考えた。開発した魔法は、この指輪を持つ人が経験した事を自分も瞬時に経験できるようにした魔法だ。


【名称】感覚共有

【効果】この魔法が付与された者を持つ者同士で経験値を共有できるようになる。


つまり、クリフ達はそれぞれが4人分の経験値を得ることが可能になったのだ。


「クリフ様・・・それって・・・でも・・・」


セリーヌとユーナが自分の指輪を見つめて、そしてナリアを見る。


ナリアの手にはクリフやセリーヌ、ユーナが持っている指輪がなかった・・・


「うん。わかってる。」


クリフはアイテムボックスから光る指輪を取り出した。


「えっ!?クリフ様。それって・・・」


クリフが指輪に付与する事を決めたのは、アイテムボックスを漁っている時にこの指輪を発見したからだ。


そして、アイテムボックスの中に入っていた指輪にはメモが付いていた。

『ナリアちゃんの気持ちわかってるんでしょ。女の子に言わせちゃだめよ。それとこの指輪ならクリフ君の思ってる魔法も付与できると思うわ。がんばってね。byアイリーン』


それを見て、クリフは今回の魔法の開発を思いついたのだった。


「うん。ナリア。まだ出会ってからあまり経ってないけど、ナリアの気持ちはわかってるつもりだよ。これから僕と一緒にずっときてくれるかな?」


「!?クリフ!!ありがとう!もちろん・・・です。よろしくお願いします。」


そういって、ナリアはクリフに抱き着いた。そして・・・


「ナリア。よかったわね。」

「ナリア。おめでとう。」


「うん。ありがとうセリーヌ。ユーナ。」


クリフはナリアの指に指輪をはめた。そして、セリーヌ、ユーナ、ナリアの指輪に感覚共有の魔法を付与していった。自分自身の指輪には昨夜付与したいた。


(これでよし。と。まあ王族ハーレムはテンプレだから問題ないよね。それにしても王国、帝国、聖国と大国の姫様をコンプリートしてしまった。順調すぎて怖いな・・・何か落とし穴があるかも・・・気を付けないと。)


魔法を付与した後、その効果について話した。ナリアは終始指輪を眺めながらニヤニヤしていた。


「これで、今日からはそれぞれが得た経験を得ることができるんですか?」


「一応そういう感じで魔法を作ったから、問題はないと思うけど・・・」


「まあ試してみればすぐにわかるわ。早速出発しましょ。今日は20階層のボスを倒すんでしょ?」


(ナリア・・・メッチャテンション高い!?)


「そうだね。20階層のボスはキマイラだったよね?」


「ええ。キマイラにスケルトンが5体にゴブリンマジシャンが3体だったはずよ。」


「じゃあ今日はそこを目標にしようか。」


クリフ達は20階層のボスを目指して、奈落の底ダンジョンの攻略を再開するのだった。


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