第128話 前回参加メンバーに協力を依頼しよう!!

5年前にあった3大国交流戦のメンバーを集めてもらう為、クリフは学園長室を訪れていた。


学園長室の扉をノックする。

「学園長いらっしゃいますか?」

「開いておるぞ。」

「失礼します。」


クリフはドアを開けて学園長室に入る。

「おおクリフ君か。どうしたのじゃ?」

「はい。3大国交流戦の事で学園長にお願いがありまして。」

「ほぉ~なんじゃ?まあ座るのじゃ。」


クリフはいつものように学園長室にある豪華なソファーに座る。

「それでお願いなんですが、5年前にも3大国交流戦がありましたよね?」

「うむ。結果は最下位だったのじゃがな。」


「結果はどうでもいいです。その時のメンバーに合同練習の相手になってもらいたいんです。前回の交流戦を体験している先輩方なら良い練習になると思うんです。それに経験者からの直接のアドバイスなら僕達にとってもとてもプラスになると思います。」

「たしかにそうじゃな。じゃがクリフ君。それは・・・無理じゃ。」


「!!!どうしてですか?」

「クリフ君の案は毎回誰かから出るんじゃ。」


(まあ少し考えればわかる事だもんね。僕はグランに言われるまで全く気付かなかったけど・・・)

「そうなんですね。でも集めれば王国が優勝できるかもしれないんですよ?」


「それはわかっておる。じゃが、前回の出場メンバーはすでに学校を卒業しており各地に散らばっておる。どこにいるかもわからん。それに貴族ならそれなりに忙しくしており時間が取れない者も多いじゃろ。」

「それは・・・」


「例えばお主の兄と姉も前回の出場メンバーじゃ。じゃが今は辺境伯領にいるじゃろ?セリーヌの兄のリッキー王子も同様に出場しておるが、王子としての仕事でなかなか時間は取れないじゃろ。取れたとしても出場したメンバー全員を同じ時間に呼ぶのは実質不可能なのじゃ。」


(なるほど・・・そういう事か。だから出場メンバーで時間の都合がつく人が時々学校に来て話をしに来てくれていたのか・・・。たしかにどこにいるかわからないのは厳しいな。辺境伯領だってここから馬車で1カ月ぐらいかかるもんな~。僕なら転移で・・・あっ!!)


「学園長!僕なら全員を集める事ができるかもしれません。」

「どうゆう事じゃ?・・・・そうか転移じゃな。」


「はい。学園長も転移が使えますし協力をお願いできないでしょうか?」

「なるほど。たしかに前と違って今は全員を集める事ができるかもしれんのぉ」


(今回は頑張って集めるけど、次回からはあらかじめ5年後に後輩を指導する為に時間を作るって決めておけばこれからも安心できるはずだしね。)


「それに次回からは参加者に集まってもらうように決めておくのはどうでしょう?。例えば僕達今回の参加メンバーが5年後の7月にこの学校に集まる。と決めておくんです。そうすれば次のメンバー達も安心できるはずです。」

「!!!確かにそれは良い案じゃな。もしかしたら帝国や聖国はすでにしているのかもしれぬな。」


(まあその可能性はあるな。できる事なんてどの国もあまり変わらないだろうから・・・)


「そうですね。他国の情報収集がなかなかできない以上、自国でできる事は全てやってから交流戦に挑むべきだと思います。次は僕達ががんばって後輩指導をしますが、今年の交流戦だって負けたくない。前回メンバーを集めてみませんか?」


「・・・そうじゃな。でも全員集まるとは限らないぞ?」

「やらずに後悔するよりもやって後悔する方がましです。それに全員集まればベストですが5人集まっただけでも練習相手にはなります。」


「クリフ君の言う通りじゃな。わかった。儂も協力しよう。ちなみに転移が使えるのはクリフ君と儂だけなのか?」

「一応僕の従魔のグランも使えるのですが、卒業生を連れてくるのは無理だと思います。」


「そうじゃな。わかった。では今回の事はクリフ君にまかせる事にしよう。それでいいかのぉ?」

「はい。とりあえずリッキー王子と兄さんと姉さんに聞いてみて出場したメンバーが今どこにいるか聞いてみます。学園長も参加したメンバーで場所がわかる人の情報を集めてもらえますか?」

「わかったのじゃ。」


クリフは学園長室を出てSクラスの教室に向かった。

(Sクラスのメンバーにも協力を依頼しよう。今年は大変だけど、がんばるだけの価値はあるはずだ。)


教室についたクリフはクラスメイト達に先ほど学園長室で話した事を話した。


3大国交流戦に前回参加したメンバーを集めて合同練習の相手になってもらう事

5年後に再度集まり、次回の3大国交流戦の合同練習の相手になる事


話を聞いたクラスメイト達は次々に賛同してくれた。


「クリフ様。それは名案ですわ!お兄様の事は私にまかせてください。他のメンバーの事もお兄様に聞いてみますわ。」

「5年後に集まるのはいいわね。後輩の良い刺激になるし。それに5年後に又Sクラスで集まれるのはうれしいわ。」


(たしかに。よく考えたら5年後に同窓会するようなもんだもんな。)


「俺も前回参加した人に心当たりがあるから聞いてみるぜ。」

「私も姉がちょうどその時に学校にいたから聞いてみますわ。」


「ありがとう。助かるよ。」

「クリフ様。それで時期はどうしますか?」


「そうだね・・・ちょうど1カ月後はどうだろう?あまり時間がないけど、3大国交流戦も迫ってるからね。」

「ちょうど一カ月後ですね。わかりましたわ。」


「僕も実家に戻って兄さんと姉さんに聞いてみるよ。」


Sクラスメンバーの賛同が得られたクリフはその後、生徒会メンバーにも同じ話をした。3年生のアルフォンスとマチルダ、2年生のアメリアがいるからだ。


(よしアルもマチルダもアメリアも協力してくれそうだ。僕も早速動かないとね。)


その日の夜、クリフはグランとスイムとクインを連れて、実家のあるボールド辺境伯領に移動するのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る