美少女という名のモンスターたち:れいか様

Take_Mikuru

美少女という名のモンスターたち:れいか様

◯本城家・中・夜


ドアが開き、スーツ姿の本城高志(36)が暗い部屋の中に入ってくる。電気をつけると、部屋の奥の方に黒づくめの麗香(22)が立っている。麗香は上にぴったりとした黒いT-シャツ、下に黒い革製のホットパンツを履いている。本城は彼女を見るなり腰を抜かして驚く。


本城「っあ!」


麗香はゆっくりと振り向く。本城はその動きにさらにビビる。


本城「あ!っあああ!!」


本城は後方にあるドアに思いっきり体をぶつける。麗香は本城を見ながらふと笑う。


麗香「こんばんは」


本城はビビリまくりながらも、頑張って声を発する。


本城「だ、誰だお前、、、」


麗香「私は麗香よ。はじめまして」


あまりにも落ち着いている麗香に本城は困惑しながら続ける。


本城「な、何やってんだ」


麗香「あなたを待っていました。話がしたかったの」


本城「話?」


麗香「ええ」


麗香はホチキス止めされた100枚ほどのA4用紙を本城が見えるように持ち上げる。本城は衝撃を受けている様子でそれを見る。


本城「それは、、、」


麗香「ええ、あなたが書いた官能小説よ」


本城「な、なんでお前が持ってるんだ!それは、俺のパソコンの中に入ってるものだ」


麗香「パソコンからデータをいただいたわ」


本城は額の汗を拭い、激しく息を乱している。


本城「窃盗だ、警察を呼ぶ」


本城は震えながらポケットに手を入れ、スマホを取り出す。麗香は少し興奮した様子で笑う。


麗香「最高だったわ」


本城はスマホをタップする指を止め、麗香を見上げる。


本城「あ?」


麗香「あなたの官能小説、変態的で、暴力的で、心底狂ってて、最高でした」


本城は信じられない表情で麗香を凝視する。麗香は興奮している様子で肩を揺らしながら本城を見ている。本城は唇を噛みながらスマホをタップし、耳元にあてる。


麗香「私はずっとこんな官能小説が読みたかったの。ねぇ、もっとあたなの物語を私に聞かせて?そのために今日来たの」


本城は激しく思い悩んでいる表情で麗香を見ている。耳元でスマホから声が聞こえる。


警察「はい、110番。」


麗香は涙目になりながら訴えている。


麗香「お願い高志さん、私の首も吊ってよ、吊りながらセックスして」


麗香は激しく興奮している。


麗香「私はそんなセックスがしたいの。あなたのセックスがしたいの」


本城のスマホから聞こえる声が大きくなっている。


警察「もしもーし?」


本城は思いっきり目に力を入れ、顔をくしゃくしゃにしながら激しく思い悩んでいる。挙句の果てに、本城はスマホを耳元から下げ、通話を終了する。麗香は嬉しそうに笑う。


麗香「良かった、セックスしてくれるのね」


本城は肩を揺らし、激しく呼吸しながら麗香を見る。


本城「君は私のセックスが好きなのか」


麗香は大きく頷く。


麗香「はい!読んでてめちゃくちゃしっくり来ました!」


本城は背筋を伸ばし、ゆっくりと麗香の方に歩み寄る。


本城「君は私のセックスがしたいと言ったね、なぜ?」


麗香はドキドキした様子で背筋をピンと伸ばし、本城を見ている。


麗香「はい、私はこれまでずっと優しくされてきました。男の子はいつも私を大事に扱う。普段も、セックスの時も。もう優しい愛撫には飽き飽きなんです!冷たく、冷えたセックスがしたいんです!モノのように、ぞんざいに扱われたいんです!」


本城は麗香の前で立ち上がる。


本城「なるほど、まぁ確かに、君ほどの容姿の女を相手に冷えたセックスができる男など、なかなかいないだろう」


本城は麗香を足元から頭のてっぺんまでよ~く観察する。麗香は息を乱しながら興奮した様子で本城を見ている。本城は観察を終え、再び麗香を見る。


本城「確かに、君の体は見事すぎる。男としては君の嫌なことをするのだけは避けたいだろう。そうしないとセックスできなくなってしまうかもしれないからな」


本城は麗香の目を凝視してから踵を返し、ドアの方に数歩進んで立ち止まる。麗香は期待に満ち溢れた表情で本城を見ている。


本城「君は私のセックスのどこが好きだ」


麗香「はい、女の人の首を吊った状態でおまんこを激しく突き上げるところが好きです」


本城「おお、クライマックスだね。なぜだ」


麗香「死の恐怖を感じさせながら痛いくらい突きまくるなんて、人間に対してすることじゃないからです」


本城「うむ、確かにあれはまるでセックスドールへの扱いじゃな」


麗香「はい、あとそれを老人が若い子にしてるっていうのが興奮します!」


本城「ほぉ~、それはなぜ?」


麗香「人生経験もあって、人にやさしくすることの大切さを熟知してるはずの人が、あれほど非人間的なことをしているのが堪らなくいいんです!」


本城「ほぉ~」


本城はこの上なくやらしくニヤける。


本城「君はわしのセックス、いや作品、否、芸術をよ~く理解し、味わってるようだの~」


麗香は興奮と嬉しさに満ちた笑顔で頷く。


麗香「はい!先生の芸術、大好きです!」


本城はニヤケながら大きく笑う。


本城「わしは20年間、ずっと作り続けてきた。その間、いろんな賞に出したり、友達に読んでもらったり、遂には家族にまで読んでもらった。しかし、誰一人、気に入ってくれる人はおらんかった。けなされるだけならまだいい、辛いのは、それを読んだ友達と兄弟が私と絶縁し、親にいたっては、私を勘当したことじゃ。」


麗香は涙を流しながら聞いている。本城は振り返り、麗香を見る。


本城「君が初めてだよ。麗香ちゃんと言ったかな」


麗香は深く頷く。


麗香「はい」


本城はゆっくり麗香に歩み寄る。


本城「わしの作品を褒めてくれたのは麗香ちゃん、君が初めてじゃ」


本城は麗香の前で立ち止まり、麗香の目をよ~く見る。


本城「ありがとね。本当に、ありがとう。心の底から嬉しいよ」


麗香は感動した様子で笑う。


麗香「先生の作品を、芸術を、私に体験させてください」


麗香は少し自分の顔を本城に近寄らせる。本城は麗香の顔を近くで見て、深呼吸をしながら唾を飲みこみ、目を閉じて下を向く。麗香は「あれ?」という表情になる。


麗香「どうされたんですか?」


本城「君は美しい。麗香ちゃん、君は本当にいい女だ。正直、いつまでも抱いていたいよ」


麗香「なら抱いてください。私はもうとっくに準備できてます」


本城「違うんだ」


麗香はまたもや「え?」という表情になる。本城はゆっくりと目を開け、優しい目で麗香を見る。


本城「麗香ちゃん、私は、本気で君に惚れてしまったようだ」


麗香は衝撃を受けている。本城は気まずそうに唾を飲みこんでから続ける。


本城「最初は私の作品通りにしてやろうと思ってた」


麗香「なら!」


本城「でも、君があれほど深く俺の書いたものを理解し、気に入ってくれてることを知って、心の底から好きになってしまった」


本城はうるうるしながら、麗香を本気の目で見ている。本城は決心をした様子で再度唾を飲みこみ、口を開く。


本城「麗香ちゃん、僕と結婚してくれ」


本城は勢いよく麗香の手を取る。


本城「愛してる。本気で愛してる。結婚してくれ。頼む。死ぬほど大切にする。俺は絶対に君を幸せにするよ。」


麗香は冷めた様子で本城を見ている。本城は驚いた様子で麗香を見る。


麗香「嫌なんですけど」


本城「え?だって、俺のセックスが好きだって、これまでの男達には飽き飽きしてるって」


麗香「それは大好きだよ。お前のセックスは死ぬほど好きだよ。でも、要は、リアルに私をあんな風には抱けないってことでしょ?」


本城は動揺している。


本城「いや、麗香ちゃん、僕は作品は作り続けるよ。誰よりも早く私の作品を読めるんだ、君は」


麗香「だから!」


本城はビビってピタリと動きを止める。


麗香「私に首吊りセックス、できるのか、できないのか。イェスオアノー」


本城は眉毛に力を入れ、必死に考えている。麗香はしばらく本城を凝視した後、完全に冷めた様子で口を開く。


麗香「もういいわ」


麗香はドアの方にすたすた歩いていく。本城は泣きそうになりながら麗香の方を見る。


本城「だってそうだろ!?本気で愛してる女に首吊りセックスなんてできねぇよ!本気で愛してる女は大切にしたいもん!人間らしく、愛情たっぷりに扱いたいもん!あんな動物以下の扱いしたくないんだもん!できないんだもん!」


麗香はドアの前で立ち止まり、本城を振り返る。麗香は涙目になっている。


麗香「もう愛には飽きたの。生まれてからずっと、どこに行っても愛情たっぷりに扱われてきた。もう生きた心地がしないのよ!!!!優しさと温かさにはもう何も感じないの!!!!!!だから冷たくされたいの!!!!!だから動物以下の扱いをされたいの!!!!!」


本城は衝撃を受けている顔で聞いている。麗香は「はぁ」と涙ながらにため息をつく。


麗香「だからあなたの家に忍び込んでパソコンを見た時、この上なく胸が高鳴ったの。この人だったら、私に生きてる実感を与えてくれるかもって」


麗香は激しく胸を上下させながら呼吸している。本城は衝撃のあまり、口は開いているものの、何も言葉が出てこない。麗香の目から一滴の涙が流れる。


麗香「でも私の見当違いだったようね」


麗香はそう言うと、ドアを開け、部屋を出ていく。本城はその場に立ち尽くしている。麗香が出ていった方向から玄関のドアが開けて閉まる音が聞こえる。本城は呼吸が乱れた状態でずっと下を見ている。少しすると、玄関ドアの開閉音と共に本城がいる部屋に足音が近づいてくるのが聞こえる。本城は期待に満ち溢れた表情でドアを見る。ドアが恐る恐る開かれ、まるで豚のような顔をした女が恥ずかしそうに笑いながら顔を出す。本城の顔が一気に曇る。


ブタ子「あのぉ~、私も先生の作品、あ、芸術?読みましたぁ~。本当に大好きですぅ~。毎晩オナニーしてまぁ~す。ちなみに、わたしはぁ~、先生の愛情に満ちたセックス、全然ありですよぉ~?」


本城は全くの無表情でブタ子を凝視した後、口を開く。

 

本城「とっとと出てけぇ!!!!!」

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