光速反転ホライズン

Taike

(プロローグ)さよなら、世界。

 ──今でも私は、夢に見る。


 電子の海の、果ての果て。

 世界を開く、三つの鍵。

 開けた先には、二つの覚悟。


「世界を殺す覚悟が無いのなら、一人で勝手に死ねばいい」

 

 0と1。殺す覚悟か、死ぬ覚悟か。

 世界《あなた》は、私へ残酷に。選べ、選べ、と、急かしてきたけれど。


「ううん。やっぱ、私は選べないや」


 でも、私は選べません。選ぶ資格もありません。


 ごめんなさい。


 ──みんな、わたしのせいでしにました。


 ごめんなさい。


 ──ぜんぶ、わたしのせいでなくなりました。


 だから私は、選べません。


「……はぁ。この期に及んで貴女は、また何も選ばないというのですか?」


 そうです。まったくです。その通りです。

 私は最後まで、絶対に。

 選ばないことを、選ぶのです。


 ああ。なので──


「うん。だから、全部無かったことにする」


 ──私は、世界をやり直すことにしました。

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