庭で服を脱いでいたら、クラスメイトのクール系ハーフ美少女に見つかった
真裸(ぜんら)
一章
プロローグ・春のうららかな日差しを受けて……
春といえば、と聞かれて何を思い浮かべるのが普通だろうか。
世の中の皆々様方と言えば、桜だの雪解けだのに現を抜かし……てはいないのだろう。少なくとも雪解けなんてどうでもいいんじゃなかろうか。
桜も桜で、花より団子などという言葉があり、桜そのものよりも寄り集まって食べる美味い飯などに期待を寄せる人物が大半だと、勝手ながら俺は思っている。
もちろん、そうじゃない人もいるかもしれないが、まあ、少なくとも俺はその両方ともに興味がない。
では何故、今の時節が春だなどということをことさらにアピールしたのかといえば、だ。
春とはすなわち、それまで寒かった気候が暖かくなり始める季節である。
寒くては戸惑ってしまうようなあれやそれが、出来るようになる。
そう。すなわち――
「外気の中で全裸になることが出来る!」
もちろん我が家の庭での話だ。
流石に往来まで出ていって、平和に生きる人々に粗末なものをお見せして、恐怖させるなんて傍迷惑な真似はしない。
別に見られたいわけではないのだ。つーか、見られたら恥ずかしくて死ぬ。
わざわざ早朝に起き出して、まだ多少肌寒さの残る中、素っ裸でいるのはそのためだ。
ただ、この瞬間。生まれたままの姿で外の空気に触れ、肺いっぱいになるまで息を吸って、一気に吐き出すこの時。俺は、紡木遼太郎はこの狭っ苦しい世界で、果てしない自由を感じることができた。
しかし、まあ、なんというか。
今回ばかりは、ミスってしまったらしい。
「えっ……?」
「あっ……」
庭の前を通りかかったジャージ姿の美少女と目がかち合う。
くすんだ金色の髪。いっそ不健康そうだと思うほどに、白い肌。そして、思わず吸い込まれるようにして見入ってしまうほどに、澄んだ空色の瞳。
その姿には見覚えがあった。というか、先日クラスメイトになったやつだった。
確か、名前はアメリア・シュルツ……。
「……」
「……」
しばしの間、そして……。
「へ、変態だああああああああ!?」
「ちょ、ま、ここ俺の家! 俺の家の庭だから!」
それが大きな騒ぎにならなかったのは、奇跡だったと思う。
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