5-8

そこには写真と同じ構図の小暮がいた。


「ああ、律都くん・・・!救いに来てくれたんだね・・・!」


小暮が顔を上げる。


どうやら扉の前の会話は聞こえていたらしい。


小暮の顔は喜びに満ちていた。


「ああ、律都くん律都くん律都くん律都くん律都くん律都くん律都くん律都くん。やっと私のところに来てくれたのね!律都くん律都くん律都くん律都くん・・・」


そう奇声を発していると見えたのだろう。


自分の隣に嵯峨野さんがいるのを。


途端に小暮の顔は絶望の淵に落とされたかのような顔に変わる。


「なんで居るのよ!離れなさいよ、淫売女!殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」


ずっと呪詛の言葉を吐き動けもしないのに向かってこようとする。


自分たちは安全のため先に戻る。


戻ると同時に捜査本部長の「確保しろ」の一言で周囲に居た警官が動き出し作業に移る。


外に出て待っていると小暮が警官に抱えられて出てきた。


彼女の顔は絶望と悲しみの顔に染められていた。


ある意味復讐できたと思う。


これから先はもうどうにでもできないだろう。


この先は知らない。


知りたくもない。


だがこれでいいんだ。


「おわったね」


「うん、終わった」


「エグイ事するね。」


「計画を告げたときに分かっていたことだよ。」


「それもそうだね。とりあえず帰ろっか。」


「うん、帰ろう。」


二人で歩き出す。


帰ると可奈芽が待っていた。


感想を聞こうとしてきたがとどまったのだろう。


なんとも言えない顔をしていた。


「ただいま」


「おかえり・・・!」







こうしてこの事件は終わった。


そのあとは今回の事件でかかわった人たちに挨拶をして実家に帰った。


ちなみに数週間後に報告書が届いたが読まずに捨てた。


小暮がこの後どうなろうと知らないし犯人がこのあとどうなろうが知ったことではないからだ。


これでいい、


これでよかったんだ。


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