あの頃出会ったこの図書館

こよい はるか

0. あの頃出会ったこの図書館

「名前、なんて言うんですか?」

突然声をかけられる私。

声をかけてきたのは、上履きが青色の男の子。同じ高校二年生。すごくイケメン。

「え、あっ、梶平沙希かじひら さきです」

「漢字は?」

「えっと、木へんに尻尾の尾で梶、平は平たいで、沙希はさんずいに少ないでさ、希望の希で沙希です」

「すごく良い名前ですね」

「あ、あなたは?」

緊張して噛んでしまう。

瑞結駿夜みずゆい しゅんやです。瑞雲の瑞と結ぶで瑞結、馬のほうの駿足の駿に夜で駿夜です」

「珍しくてかっこいいですね」

「あは、ありがとうございます。ところで、梶平さん二年生ですよね?」

「はい」

「同い年ですね。クラスは?」

「私は2-Dです」

「僕は2-Cです。隣のクラスなのに見かけたことないな……」

「ですね」

「あの、タメ口で沙希って呼んで良いですか?」

「は、はい」

「じゃ、俺のこと駿夜って呼べよ?」

うわすごい。急にタメ口になった。すごい人は違うな……。

緊張しちゃうけど、答える。

「は、はぃ…うん」

「あは、セーフ!同じクラスになれるといいな」

「うん…可能性十分だもんね」

そう。そろそろ私たちはクラス替え。

今は高校二年生だけど、そろそろ春がやってくる。

校庭の桜も蕾が開きそう。

最近は暖かくなって来てるから、桜も早咲きになっている。

三月二十二日。

修了式まであと三日。

修了式、二十五日だからね。

「お~い、沙希?」

「あ…ごめん。ちょっと考え事してた」

「何?」

「いや、あと少しで二年生も終わりなんだなぁって」

「だな。すっごく早く感じた」

「私も」

「で、勉強しようぜ。そのためにお互い来たんだし」

「だね」


何故駿夜に声をかけられたかは、これから時間がたっていくと分かってくる。

でも……それは、敢えて言わないでおこう。

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