第9話 朝食

朝日が顔を差している気がする。目覚めると、あたしは昨日見た天井が目の前にあった。近くから若干焦げた匂いがする。

「おはよう、朝ごはん作ってるから」

パパの声がした。あたしはベッドから出て、顔を洗った。パジャマ代わりのジャージを着たまま、ボサボサの髪でテーブルに向かい、パパと手を合わせる。

「頂きます」

ご飯とちょっと焦げた目玉焼きと、コーンスープ、ケチャップが上にかかったソーセージ。普通の朝ごはんのようだけど、久しぶり。最近は食パン1枚食べるだけで済ませていたから。

ソーセージを1口齧る。パリッと音がして美味しい。あたしの表情を見たのか、パパは「喜んでもらえて良かった」と、スープをすする。

パクパクと食べ進め、あっという間に朝ごはんを食べ終えた。満腹で、こんなに満足したのは久しぶりのような気がした。

「ご馳走様でした」

「また何かあったら言えよ。あ、ここからコンビニ見えて左に曲がったら学校見えるから」

「ありがとう」

パパの優しさが心に染みる。こうやって誰かに玄関前に送ってくれるのも久しぶり。あたしはアパートのドアをそっと開けてパパに手を振った。アパートの階段を下りて、乗り気ではない帰路をゆっくりと歩いていった。

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