ピアナ
「おや。2人のデートの邪魔をしてしまったかな。私は外すよ。ゆっくりしておくれ」
当主は背中まで伸びた燃えるように真っ赤で美しい髪を払い、切れ長な目で落ち着き払って微笑むと
ピアナ・スルグレア。
大昔にラズリより直接
クラウディアは皇主を筆頭に代々その4家によって支えられ分割自治されてきている。
彼女はその高弟の中でも最も
スルグレア家の現女性当主、すなわちスルグレア区の
皇服の胸のところでスルグレア
「とんでもないです!私達が外します。ゆっくりなさって下さい」
「構わないよ。それか……、もし2人が良ければ少し一緒に飲もうか。話したいこともある」
と、当主は思案してからもう一度優しく微笑んだ。
カッコはその笑みに「もちろんですわ」と顔を赤らめると、ドタバタと椅子を並べ直しながらホセを
「ちょっとぉ、もうちょっとマシな椅子ないの?」
「オメェ、俺の時とはえれぇ違いだな……」
2人のやり取りにクスリと笑う当主の脇から、左目に眼帯をはめて細長い布地の包み物を2本背負う、澄まし顔のカシミールも姿を見せた。
「あっらぁ!カシちゃんもいたのぉ?」
カッコがカシミールを「お疲れ様よぉ」と思い切り抱き締めて頬を
「カッコ姉、苦しい」
カシミールは表情を変えずに言う。
「ごめんねごめんね。お迎えまでしてたのね。偉いわぁ。皆で一緒にご飯食べましょ。ホセ準備」
「俺ぁ、オメェの召し使いかよ」
4人でテーブルに腰掛ける
ホールから
それが私のお気に入りでもあるのだが、当主がいるだけでさらに引き締まって不思議と
ホセが素早い仕事でテーブルを料理で
5人でテーブルを囲み終え乾杯のグラスを
「カッコ、留守をありがとう。あの子はひとまず無事に落ち着いたよ。」
「
カッコは当主の空いたグラスを見てすかさず2杯目を作り出した。
「そういえば今日は息子は見えないね」
「レノンは最近、孤児院の友達と一緒にいるのが楽しいみたいで、今日もそっちにいます」
レノンはカッコの連れ子だ。カッコに似ず
友達思いの優しい男の子で、
「母親に気を遣ってるんだよ。もう
「はい、来年7つです。うぅ、ホントに優しい子なんですぅ」
瞳を
「ありがとう。して、ノヴォも先日はご苦労だった。無事で何よりだ」
「いえ。私は全く。カシミールが頑張ってくれましたので」
当主は物静かにジュースを飲むカシミールの頭を
「やはりその右足はもう限界か。ホセ、まだなのかい?」
「もうすぐ出来ますよ。やっと納得いく形になってきたみてぇだ」
「次までには必ず」と、
「遅いぞ!早くしなさいよ!ダーの大事な足なんだから!」
「オメェ、ホントにピアナと俺で態度違うよな」
「呼びすてにするな!ピアナ様は美しくて優しくて
「はいはい」
猫のようにシャアシャアと
「ホセには本当に世話になってばかりだよ。それに酒も料理も美味いじゃないか」
当主は並べられた料理を一口
「ピアナ様、お早いですわ」
「飲まなきゃやってられないよ」
コトンとグラスを置く
「して、本題だ。ノヴォ、一体何があった?」
真剣な面持ちになった当主を見て、私も背筋を伸ばした。
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