第32話500万Gは遠い…



とんでもなくショッキングな死に戻り方をして街に戻ってきてしまった。


「フラグって怖いんだね…。」


「俺、しばらく爬虫類と両生類無理だわ…。」


カズの衝撃は僕以上だろう…可哀想に1日に2度も、それも立て続けに頭から食べられたら心も荒んじゃうよね。


「まぁ、デスペナルティーでステータスが下がってるし、しばらくは街の中で大人しくしてるか!」


「3時間で元のステータスに戻るんだったよね?それだったら宝箱の中身を売りに行こうよ。」


「それもそうだな。ヒュージスライムの魔石を売るのも知り合いに声かけとく。」



今回のダンジョンで手に入れたものは階層ごとにいたモンスターのドロップ。

でも、熟したシィクの実だけはは食べてしまったのでもうない。


あんなに酸っぱかったなら売った方がよかったかも…。

まぁ次からはそうしよう。


そしてこれらのアイテムに加えて宝箱に入っていたアイテム類がこんかい手に入れたアイテムだ。


宝箱から出たのは一層で、


・レッドベリル

・ボロボロな腰布

・ヒュージスライムの魔石


二層で、


・ブルーゼリーの人形


このうちギルドで売却する予定のものはレッドベリルとボロボロな腰布っと。

ボロボロな腰布自体は一層の恒常モンスターのコボルトソルジャーが落とすものなので宝箱から出たもの以外にも沢山手に入った。


裁縫スキルを持っているわけでもないし見た目はただのボロい布だから全部売っちゃってもいいかな。


「アイテムボックスには入れてるものをロックする機能があるから売りたくないものはしておいた方がいいぞ。

うっかり売っちゃうなんてことがたまにあるからな!」


「そんな便利な機能があるんだ。

じゃあ装備と武器とブルーゼリーの人形をロックっと。」


ドルにぃから作ってもらった武器を間違えて売っちゃったら泣いちゃうもんね。

しっかりロック、よし!

 


ギルドに着いたら早速アイテムー売る。

モンスターからのドロップはコボルトソルジャーとシィクトレントのものを合わせて合計で8万6500G。大金だ!


今回は接敵したモンスターを全部倒していたためこんなに大金になったんだと思う。


攻略組の人だと今回のようなダンジョンでは浅層ではモンスターをあえて避けて進み、深層で沢山倒すのがセオリーなんだって。


そして、気になる宝箱の中身だったレッドベリルのお値段は…


・レッドベリル 12万G


「すごい!一個で12万Gだって、カズ!」


「お!そこそこいい値段が着いたな。もう少し色が濃いともっと高い値段もついたかもしれないんだけどなー。」


基本的にこの世界では色の濃い宝石が高く取引されているらしい。


でも、あえて薄い色の宝石でアクセサリーを作りたいプレイヤーもいるから宝石全体が高めの価格で取引されている。


色の薄い宝石はギルドじゃなくてプレイヤーに直接売った方が高くつくこともあるみたい。


今回のレッドベリルは少し濃いめだったのでギルドで売ることになった。

それに僕たちがいる第一の街には宝石の買取を行なっているプレイヤーがいないらしい。


いたとしても初心者が多いためそこまで高値で買ってくれる人がいないという。


「第二の街に行けたら良かったんだけど仕方ないよねー…。」


「まぁ、クランやパーティを作ってるようなやつらしかまだ行けてないからな。

宝石の買取なんて金がかかることをできるのはそういうクランに所属してる生産職くらいだし、仕方ない。」


ドルあたりだともうすぐ第二の街に行くかもしれねぇな、あいつ生産職だけどゴリラだから、というカズの言葉に否定も肯定もできない僕がいる。


ドルにぃのキャラすっごく強そうだけど木工師なんだよね、すっごく強そうだけど。

多分ステータスもdex振りな気がするんだけどな。



「ステータスで言ったらゴリラなのはカズでしょ!」


「なにー?!…まぁ、それもそうか…。str極振りはゴリラだよな。」


「ゴリラさん売るものは全部売れたけどこの後どうする?」


お店開店のための資金集めのために今回はダンジョンに潜っていたけど一回潜るくらいじゃあ残りの約500万Gにはなかなか届かない。


今回稼げたのは約20万Gだからあと24回は最低でも潜らないといけない計算になる…。


今回は宝箱の引きが良かったようなのでこの値段だけど次からはそうは行かないよね。

うーん、先はなかなか長いな。


「誰がゴリラだよ!

ヒュージスライムの魔石を売るやつにまだ連絡がついてないからこの後はとくにやることがないな。」


「そっかーじゃあ今日は終わりにしてこの後一緒に宿題しよっか?」


「よし!もう一回ダンジョ潜るか?!そうするか?!」


そんなに宿題をやりたくないのか勉強嫌いめ!

最終日に泣くのは自分なのにね。


「まぁそれは冗談として、俺の畑に新しい野菜を植える予定だから一緒に選びに行こうぜ。」


第一の街で植物の種を売っているのは主に生産ギルドらしい。


第二、第三の街など先に進むと農業専門のギルドがある街もあるんだとか。



「いいね!実は生産ギルドまだ二、三回しか行ったことないんだよねー。」


「おいおい、マジかよ。生産ギルドにもクエストがあるんだぞ?

まぁケイだし、知らなくても仕方ないか…。」


そ、そうなんだ。

冒険者ギルドと違って生産ギルドはただスキルを貰えて、生産関係のアイテムを買うことができる場所だと思ってたや…。


「【錬金術】でもクリアできるクエストは少ないかも知れないけどな。

ポーションの納品関係のクエストらしいけど今までまともに作られてなかったみたいだし。」


「たしかに…。」


僕もなんやかんや作れたポーションは初心者ポーションだけだ。

クエストって普通は簡単なものから段階的にクリアしていくものだから練習ポーションがないとクリアできないクエストも多いかもしれない…、これは困ったな。


「うーん、クエストクリアは無理かもだけど行ってみるだけ行ってみたらいっか。」


百聞は一見にしかずって言うしね!



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