第7話同じものは一つとない




 こんにちは、ケイです。

 突然ですが僕は今どこにいるでしょーか?


 正解はー…






 ドルにぃの工房兼お店です!


「ほらよ、ケイ。調節できたぞ。」


「おぉー、カッコいい!僕の弓」


「そうだぞ、ケイの弓だ。ケイの種族の天使族をイメージして作ったからな。木はちょいと手を加えて白く染めてある。この弓のこだわりどころは形を羽にしてあるところだ。」


 たしかに羽の形だ。元βテスターはみんなこんなにすごいのかな…僕も頑張らないと!


「ドルにぃ本当にありがとう!」


「こんくらいどうってことないよ。」


「うん、大事に使うね!あ、タメ口で話してた…ごめんなさい。」



 興奮のあまりで気づいたら敬語が外れてた、でもそれくらい嬉しい!


「タメ口くらいゲームの中だしいいだろう。もしかしたら俺の方が年下かもしれんしな。」


 え?!そうなの??


「いやいや例えばの話だからな?例えばの。」


 心を読まれたのは置いておいて…


「ドルにぃ、[弓術]をギルドでとってきたのはいいんだけど弓で魔法ってどうやって使ったらいいのかわからない。」


「あぁ、そのことか弓で魔法を撃つっていうよりかは矢に魔法を乗せる感じだな。

 詠唱をしながら弓を射ればいい。」


「ふむふむ、なるほど。」


 詠唱か、今はライトしか知らないけど。てかライトって詠唱なのかな?あれ?ただの名前なのかな?


「魔法の詠唱は頭の中に直接いう言葉が浮かんでくるらしいからあまり悩まなくてもいい。」


「そうなんだ!よかったー。」


 よーし!これで僕も百人力だ!バッコンバッコン倒すぞー!


「そういえばケイ、ステータスは振ったのか?」


 あ、そうだった!存在感が薄いからすぐに忘れちゃうなー。


「まだ振ってない。dexに振ればいいんだよね?」


「あぁそうだな。魔法の威力をあげたかったらintに振るんだぞ。」


「うん!わかったー。」


 dexに振ると器用が上がって、弓が扱いやすくなるんだったね。うーん、dexとintだったら少しdexを多めに振っておこうかなー…



 ケイ ♂

 HP50

 MP50

 str0

 agi0

 dex0→33

 int0→17

 vit0

 luk0

 point0


 これでよしっと!


「お、できたか?じゃあ早速弓の試し打ちに行こうか。」


「はい!え、モンスターを倒すんですか?!」


「そりゃあ当たり前だろう今日でもう3日目だし東の丘に行ってもいいかもなー。」



 とてつもなく言いづらい。


 初日にドルにぃに出会って、弓が出来上がる3日後がすごく楽しみで、弓が出来てからはたくさんゲームをするつもりだったからその前に宿題を終わらせておかないとと思って……初日以外何にもしてないなんて言えない!!


 まだレベル1でセーフティーゾーンから出たことがないなんて言えない!


「…ケイ。………全部声に出てるぞ。

 一緒に初心者の森に行こうな…。」


「ぅぅ……はい。」



 新しい武器を手に入れてもなんだか決まらないなぁ。


 でもでもついに本当の僕の冒険がはじまるんだ!


「また声に出てるぞー。調子乗って突っ込んだらダメだからなー。」





 初心者の森—



「弓は遠距離の武器だからな。近づかずに獲物を狙うのはわかるな?」


「うん、わかる。」


「なるべく息を殺して狙いを定めろ、詠唱は極力小声でな。よし、おさらいはこんなもんだろう。やってみな。」


 すごく緊張する。でもそれがすごく楽しい


「わかった。とりあえずやってみるね。」



 おおよそ10m先にスライムのようなモンスターがいた。


 とりあえず[鑑定]!



 "ブルーゼリースライム"level2

 ゼリーのような柔らかさのスライム。

 青い。





 僕よりもレベルが高いだと!

 スライムのくせにやりおるな…。

 よーし僕の弓の最初の餌食にしてやる!



 えっと、息を殺しながら弓を構えてライトの詠唱は、



 ~ライトアロー~



 頭に響いたのをそのまま口にだす。

 なるべく小声で!


「ライトアロー……」

 詠唱が終わると同時に矢を放つ。



 ビュッッ



 僕が放った矢は光を撒き散らしながらまっすぐにブルーゼリースライムを貫いた。



「やった!倒せた!」


「一発で倒せたのか!すごいじゃないか。」 


「うん、ドルにぃのおかげだよ!」


「おう、そう言ってもらえると嬉しいぜ。あ、ドロップも確認しておけよ。」


「あ、そうだった。えーっと、ドロップはブルーゼリーとスライムゴーグル?」


 ゴーグルは装備みたいだレアなのかな?そうだったら嬉しいなぁ。


「おぉ、初めてでゴーグルが出るなんてすごいじゃないか。レアドロップだからな、手に入れてるやつは極少数だと思う。」


「そうなんだ、運が良かった!」


「さっそくつけてみろよ。」


「うん!もちろん。」


 スライムゴーグルはブルーゼリースライムみたいに青いわけではなかった。


「あれ、真っ白だ。青かと思ったのに。」


「あぁ、それはなブルーゼリーが色素でスライムゴーグルは色素が抜けたあとって説があるんだよ。色素の抜け方もまちまちでな、青のまだら模様もあればたまたまストライプみたいになってるものもあるんだ。

 それにスライムも青一色じゃないからな1つとして同じものがなくて見ていて面白いんだぜ。」


 へぇー、そうだったのか。ほかの人のゴーグルも見て見たくなったなー。


「ケイのゴーグルみたいに真っ白で完全に色素が抜けているものは初めてみるよ。」


「おぉー、今日の僕なかなかの豪運だね!」


「ケイのイメージカラーにぴったりだな!」



 そういえばつけたはいいけど鑑定を試してなかったや。


 まずはブルーゼリーから…




 ・ブルーゼリー

 青くて毒々しい色をしている。

 しかし毒は含まれていない。

 食用可


 え、食用しても大丈夫なの?この色だよ…食べた瞬間、おじいさんが川の向こうで手振ってきたりしないよね?


 じぃちゃん生きてるけども。


 まぁブルーゼリーはとりあえず置いておこう。



 ・スライムゴーグル


 dex+3


 スライムの体の中で作られていると言われているゴーグル。


 その種類は数えきれるものではなく、コレクターも多数いるらしい。



 dex!dexが増えるんだって!

 なんて有能なんだスライムゴーグル!


「ドルにぃ、このスライムゴーグルdex+3がついてた!」


「おぉ、そりゃあいいじゃねぇか、生産にももってこいだな。」


「うん!」


 よーしこのゴーグルつけて[錬金]をやるぞー!死にスキルになんて負けなーい。



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