幼馴染イケメンに告白して振られた憧れの女子が泣いてたから、怒り狂って暴れた一年後。彼女が同じクラスで隣の席になった上にいつもかまわれてる
コータ
プロローグ
十五の春。俺は桜並木の通りを歩きながら、緊張でぶっ倒れそうになっていた。
陰キャな人生を変えるべく、必死に勉強しまくってたどり着いた、分不相応なほどの進学校。前日まではわりと気持ちが落ち着いていたけれど、当日になって急に動揺してきた。
だって、こんなに優秀かつキラキラした新入生の中に、俺の知り合いは一人も見つからない。ただでさえ人との交流が苦手であり、中学三年間ついに一度も友達を作ることができなかった男がやっていけるのだろうか。
新生活の希望より不安のほうが勝っていた。とにかく気が気ではない。
でも、知り合いがいないわけではないことに、校門まで続く長い道のりを歩くうちに気がついた。ただ、それは希望というより……むしろ逆というか。
「周! おはよっ!」
ちょっと少年っぽい感じの声。ショーカットの煌めく黒髪。スレンダーな体型に凛々しさと可愛さが見事なまでに同居している顔。俺にとって忘れもしない、決して間違えようはずもない。中学一年から卒業まで片思いをしていた女子、
彼女は爽やかに肩を叩いた。しかし残念ながら、それは俺の前を歩いている男に行ったことだ。俺の名前は
「おーっす。お前と高校まで同じになっちまうなんてな。こりゃ災難だぜ」
そいつはうっすらとした金髪と、長身が目立つイケメン中のイケメン、
あとで気づいたのだが、実は今鷹と俺は同じクラスだった。木闇だったらどれだけテンションが上がったことかと、考えても仕方ない妄想が脳裏を過りまくっていた。
そして二人のことを語る上で、もう一点外せないものがある。木闇楓夏はそんな今鷹と、なんと幼馴染みなんだとか。
俺は今鷹のことはどうでも良かったが、木闇に対してはずっと憧れていた。一度もクラスが一緒になったことがないし、もちろん話したことすらない。特別クラスでも騒がれるような美女って感じじゃないらしいが、俺には可愛く見えて仕方なかったのだ。
だからこそ、この時間が嫌だ。やたらと長い校門までの道のりは、学生が多くてちょっとした渋滞になってる。ゆっくりとしか進めない道で、目の前で楽しそうに話すイケメンと美少女。まるで精神を追い詰める拷問か何かに思えてくる。
「なんだよー。ちょっとくらい喜べよな。同じ中学の奴がいて良かっただろ」
「まあな。楓夏だっているだけマシか」
「マシとはなんだマシとは。もっと素直に喜べ!」
ぎゅう、と細くて綺麗な指がイケメンの頬を引っ張る。なんて、なんて幸せな奴なんだ今鷹。悔しい、マジで悔しいです。それと本当は君達の後ろにいるからね、同じ中学の男が。
ちなみに、彼女は喋り方も男の子っぽいところがまた良かったりする。ギャップ萌えという言葉は木闇のためにある、なんて本気で考えている自分がいた。
しかし、この後の展開を見ると悔しくて悔しくて、もうそれは耐え難いシーンが続いた。今鷹が木闇のほっぺを引っ張り返し、二人はそれから言葉やボディタッチでじゃれあい続けていた。
なんて羨ましいんだよ。そして、木闇が改めて男っぽく振る舞っていて凛々しいのに可愛いすぎるという、奇跡的存在であることを再認識していた。
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