第343話 唐突に出てくる世界観というか設定
翌日、レオルドはシルヴィアと別行動を取り、聖都にある図書館へ向かった。レオルドは、まず歴史について調べることにしたのだ。真人の記憶と融合を果たし、転生した際に一度歴史について勉強をしたが、そこまで詳しくはない。
だから、一度じっくりと、この世界の歴史について調べることにした。図書館へ着いたレオルドは、ギルバート、バルバロトの二人に本を集めるように指示して、自分も本を探しに館内を歩き回る。
司書に聞けば早いのだが、どこから情報が漏れるかわからないのでレオルドは、司書を頼らなかった。もっとも、レオルドが図書館に来たことは、既に知られているだろうが。しかし、何を調べているかはわからないはずだ。レオルドは、警戒して本を探しているので、誰かに見られていないか確かめながら本を集めた。
「こんなところか……」
レオルドは集めた本を一箇所に集めて、空いている場所に座った。他にも図書館を利用している客はいるが、レオルドを見ているような者はいない。レオルドも周囲に怪しい人物はいないことを確認してから、本に集中する。
(ふむ……。創世神話か。よく考えてみれば、
レオルドが知っている邪神の基本的な情報は、殆ど無いのだ。封印されている最強のラスボスというものしかない。有料DLCで追加されたラスボスであり、最強の敵。しかし、その実態はよくわからない。かつてあった神々の大戦で、終末の大陸に封印されたということくらいしか情報がないのだ。
ちなみに、女神の立ち絵はあっても出てこないので、攻略対象外だ。そもそも、現世に干渉してこないので、登場する余地はないのだ。
(う〜ん、やっぱり情報不足は手痛いな……。とりあえず、片っ端から調べよう)
それから、レオルドはギルバート、バルバロトが集めてきた資料に目を通し、この世界の歴史を紐解いていく。
(ふむふむ……。女神だけじゃなく、元は七柱の神がいたんだな。この世界を創った創世神、生命を創造した女神、そして、天地海にそれぞれ一柱ずつ。さらに、知恵の神と戦いの神か。そんで、創世神は世界と一体化して消えており、残りの六柱で世界を管理していたと)
レオルドは、この世界の創世神話を読み進めていき、興味深い内容を見つける。
(しかし、世界は平和そのものであったので、戦いの神が退屈しのぎに戦いを始めた。最初こそ、この世界の生き物を使って戦っていたが、女神にバレてしまい、喧嘩になる。そして、最終的には神々が戦争を始めた。だが、その戦争は苛烈を極め、女神と戦いの神以外は死んでしまった。正確に言えば、他の神は死んだのではなく、それぞれの場所や概念になっただけとのこと)
そして、レオルドは最後の一文に眉を
(戦いは女神の勝利でこそ終わったが、戦いの神は死んではいなかった。女神がクローズ大陸に封印して、戦争が終結したと……。え? じゃあ、邪神は戦いの神だってことか。どうりで頭がおかしいくらい強かったわけだ)
(さて、創世神話についてはわかった。教皇は邪神、戦いの神に何を求めてるんだ? いや、待てよ? 戦いの神が邪神なのは確定だが、教皇はそれを知らないはずだ。女神とは別の神様だと認識しているから、ただ唆されてるだけなのか? やばい、訳がわからんくなった……)
創世神話を読んだレオルドは、教皇の目的はなんなのかと思考を巡らせて考えるが、考えれば考えるほどわからなくなった。
(
簡単に言えば、教皇は邪神に体よく利用されただけ。それがわかったレオルドは真実を教えれば、踏み留まるのではと考える。それに、今の教皇はまだ子供達を生贄に捧げておらず、聖歌隊を結成しているだけだ。ならば、説得すれば犠牲なく終わらせることが出来る。
(果たして、そんなにうまくいくか? なんだかんだ言って教皇は、神の言うことを信じてるからな。俺の言葉よりも神の言葉を重要視するはずだから、説得は難しいかもしれない。でも、信じてるからこそ裏切られた時の反動は凄まじいからな。どうにかして、教皇を説得できれば……。聖女に神の啓示があったとか言えばいけるか? う〜ん……)
腕を組んで、うんうんとレオルドは頭を捻るが、解決策は浮かんでこなかった。しかし、収穫はあったのでレオルドはシルヴィア達と合流するために、宿へ戻る。
しかし、その帰り道、レオルドはふと思い出した。
(あれ? 図書館にある本に創世神話が詳しく書かれてるって事は割と常識なんだよな? じゃあ、教皇は邪神が戦いの神だってことを知ってるじゃん! あークソ! だったら、教皇も戦争がしたいのか!? ダメだ、分からん……。やっぱり、帰って皆と相談しよう)
結局、謎は深まるばかりでレオルド一人の頭ではどうにも出来ない。だから、レオルドはシルヴィア達に相談する事に決めたのだった。
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