現世で死神と呼ばれた少女、異世界に召喚される

宵桜

第1話 少女、召喚される

身体を光が覆ったと思った直後私は見知らぬ場所にいた。


「えーと・・・ここはどこかしら?」


そう言って周りを見渡すと、どうやらここは城の中らしい。それも王様がいるところだ。目の前の玉座にいかにも偉そうな感じで座ってる。さらに私の周囲に高校生ぐらいの子がいるのを見ると、神が言った通り私だけ別のようだ。そんなことを考えていると王様が、


「よくぞ参られた!勇者様方よ!」


と喋り始めた。続いて、


「こうしてあなた方を召喚したのは、今世界を脅かしている魔王を討伐して貰いたいからである!あなた方はこの場に来る前に神からスキルを授けられているはず。この場でステータスと念じてみるがよい。」


王様に言われた通りにしてみると、目の前にボードが出現した。それには、


名前:宵桜氷雨よざくらひさめ

種族:龍人

職業:死神

HP:ERROR

MP:ERROR

攻撃力:ERROR

防御力:ERROR

スピード:ERROR


スキル:

剣術:MAX 弓術:MAX 格闘術:MAX 暗殺術MAX

糸術:MAX 槍術:MAX 大鎌:MAX 刀術:MAX

短剣術:MAX 鍛治:MAX 裁縫:MAX

闘氣 千里眼 神速 剛力 隠密 気配同化 気配感知

隠蔽 無限倉庫(アイテムボックス) 鑑定 魔眼

天照大神の加護 月詠の加護


所持品:

茜吹雪 星蒔吹雪 戦略拳銃(神威、村雨) コート

脚甲(フレースヴェルグ)


称号:

死神 陽と月の神に愛されし者


なんだろう、目眩がしてきた。あの神、私の種族まで変えたの!?えっ?私人間やめたの?わーお!

うん、ちょっと落ち着こう。さすがにこれを見られる訳にはいかないわね。確か隠蔽ってスキルで隠せるはずだからスキルと称号は全部隠してしまおう。さすがにないと思われれば用は無いはずだからね。よし、これで隠せたわね。


名前:宵桜氷雨

種族:龍人

職業:死神

HP:ERROR

MP:ERROR

攻撃力:ERROR

防御力:ERROR

スピード:ERROR


スキル:


所持品:

茜吹雪 星蒔吹雪 戦略拳銃(神威、村雨) コート

脚甲(フレースヴェルグ)


称号:


見えなくなってるわね。ステータスがERRORしかないけどどうにかなるでしょ。


「さて、そろそろ確認は済んだかな?済んだものは私たちに是非見せてもらいたい。」


やっぱり見せることになったわね。隠して正解だったわ。

と考えていると、一緒に召喚されていた子のひとりが前に出た。


「では、僕からいきます。」


そう言いながら、ステータスを開いて見せたけど、正直期待はずれね。ただ職業が勇者になっているってことはあの子が、本来の召喚対象だったのね。ただスキルが少なすぎるわ。他の子も聖女や賢者とか言われてるけど、多分スキルだけ与えられたのでしょうね。


「勇者の方も聖女の方も素晴らしいスキルをお持ちのようで、賢者の方も我らとは比べ物にならないほどのスキルを持ってらっしゃる。」


はぁ、これはめんどくさいわね。


「あっ、私はスキルがないのでこちらで自由にしたいのですが。」


「スキルがないだと!?なぜそのような無能がまぎれているのだ!スキルが無いとは神に見放された証拠!自由にする事など許さんわ!」


まぁ、こうなるわね。周りも目付きが変わってるし。


「あら?私は貴方によってここに連れてこられたのよ?それにさっきから建前しか言ってない人に従う理由はないわ。」


そう、目の前の王様はさっきから本当のことは言ってない。魔王がいるのは確かだけど世界を脅かしているのはおそらく嘘だろう。


「貴様ァ!無能のくせに何を言う!それに自分の状況がわかっていないようだな!」


王様が手をあげた瞬間、私の周りに兵が剣や槍を向けた。ご丁寧に勇者と言われた子達だけ下げてね。けど正直に言うと、相手にならない。練度が低すぎる。それに彼らは知らない、私に武器を向けるということが何を意味するかを。


「ひとつだけ警告しておくわ、今すぐに武器を下ろしなさい。」


一言、言っただけで兵たちの間に怒りが湧くのを感じた。そして残念なことに武器を下ろすのは1人もいなかった。


「残念ね。こんなことはできるだけしたくなかったのだけど。」


私は周囲に殺気をばらまいた。

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