第49話 冒険へ出かけよう!


 ギルドの一室で冒険者を待つレティシアとエリーシャ。


 約束の待ち合わせ時間まであともう少し…というところで扉がノックされ、先程の受付嬢が戻ってきた。

 そして、彼女に続いて数人の男女が部屋に入ってくる。



「レティシア様、お待たせ致しました。今回の依頼を受注した冒険者の皆さまをお連れしました」


「ありがとございます!……皆さん、はじめまして。私が今回の依頼を発行させて頂きました、モーリス商会会長のレティシアと申します。こちらは…秘書のエリーシャです。これからよろしくお願いしますね!」


 しれっとエリーシャを秘書として紹介する。

 エリーシャも特に気にしてないので、当人もその認識だったようだ。



 依頼人の自己紹介を受けて、冒険者たちも挨拶と自己紹介を始めた。



「私はフランツと申す。ランクA。前衛の剣士を務めさせてもらう。どうかよろしく頼む」


 簡潔にそう述べたのは、外見は二十代後半から三十代くらいの男性。

 背はそれほど高くなく、体格も鍛えられてるように見えるが筋骨隆々という程ではない。

 だが、研ぎ澄まされた刃のような雰囲気を纏っており、流石は最高ランクと言った貫禄を感じさせる。

 その一方で、穏やかで落ち着いた物腰には安心感も覚える。


(ん〜、シブくてカッコいいなぁ……武士とか侍みたいな感じ?腰の剣も反りがあって刀みたいだし。Aランクって冒険者の最高位ってことだよね……兄さんとどっちが強いのかな?)


 初めて話す冒険者に、レティシアは興味津々である。




「俺はジャン、ってんだ。よろしくな。ランクはBで同じく前衛なんだが、盾役タンクが主な役割だ。しっかり護るから安心してくれ」


 ジャンは身長2メートル近くある巨漢で、年齢はフランツより少し若いくらいか。

 威圧感ある風貌とは裏腹に、砕けた口調に人懐こそうな笑顔でとっつきやすそうである。

 全身鎧に大盾と長柄斧ポールアクスで重武装している。


(ひゃあ〜、私の倍くらいありそう……すっごい重武装なのに、それを全く感じさせないのがスゴいね)




「私はウルスラ。Bランクの斥候スカウトよ。よろしくね」


 ウルスラは二十代前半くらいの女性。

 サバサバした喋り方でクールな雰囲気だが、最後にウィンクを飛ばしてくるあたり茶目っ気もあるようだ。


(カッコいい系のお姉さんだね。さっきロビーを見た感じだと、結構女性冒険者も多いみたい)





「……ライルと言う。Bランクの魔導士。結界や支援の魔法が得意だ。よろしく……」


 ボソボソと小さな声で喋るのはライルという男性。

 フードを目深に被った怪しげな風体だ。

 一応挨拶のときはフードを取って顔を見せてくれたが、整った顔立ちの十代後半くらいの少年だった。

 挨拶し終わるとフードを直ぐに被ってしまった。

 本人曰く、恥ずかしいらしい。


(変わった人だね。恥ずかしいって……すごくキレイだったのになぁ……。もしかして、そう言われるのが嫌なのかな?下手に触れないほうが良いか)





「わたしはロミナって言います!Cランクの魔導士で魔法火力担当です!よろしくお願いします!」


 最後の一人は鮮やかな赤毛をポニーテールにした少女。

 レティシアより少し上、15〜6歳位に見える。

 元気一杯で人懐こそうな笑顔がとても可愛らしい。


(この子が一番若いみたい。年の近い女の子がいるのは私としても嬉しいね。……何か、私って同年代の友達少ないらしいし、是非とも仲良くなりたいところだね)






 こうしてお互いに挨拶と自己紹介を終えたあと、依頼内容の再確認と行動指針……特に魔物と遭遇したときの立ち位置や役割を軽く打ち合わせする。


 そして、それも終わると……



「よし、それじゃあ冒険へ出発しよう!」



 レティシアの元気な掛け声とともに、一行はギルドを出発するのだった。

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