自恋魔

シジョウケイ

<プロローグ>

「ねえ、真紀はなんであんな授業取ったの?」

大学構内で歩きながら、美佳は問いかける。

「だって、面白そうだし!うちの大学くらいでしょ、あんな実習やってんの。」

真紀は嬉々として話す。

「先輩から聞いたけど、マジでめんどいって言ってたよ?先生も変わってるで有名だしさ」

「はいはい、もう言われ飽きてるの。私、もう次の授業あるから行くね。」

真紀はそう言うと、小走りで去って行った。

その足取りはどこか軽く見えた。


「はあ、期末になって愚痴聞かされなきゃいいけど…。」

美佳はため息をつきながら、汗ばみ、ぬるくなったペットボトルの水を飲んだ。

「暑っつー…。」

気温は30度。今年は初夏はきつそうだ。

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