第115話 ボートピープル

 実は……

 書くべきか否か、ずっと悩んでいたネタがあります。

 ただ、今の社会情勢上、むしろ書くべきと判断しました。


 私達の企業内高校には、実はベトナムからのボートピープルの子が2名いました。

 泥沼のベトナム戦争を逃れて海に出て、日本まで辿り着いた難民の人達……

 1975年にベトナム戦争が終結しているため、戦火を逃れて、または戦後の混乱を避けて逃げたことから想像するに、2世になるのか、乳児のころ難民になった1世なのか、微妙なところです。

 本人がパスポートがらみの申請を行っていたし、もしかしたら1世かもしれません。

 話が微妙すぎて突っ込んで聞きませんでした。


 当時の日本は今ほど外国人に溢れていなかったし、嫌う人間もいたはずです。

 今よりもっともっと露骨だった世界で、生き抜くのは大変だったと思います。

 それこそテンプレな苛めでもあれば介入することは容易いけれど、空気感みたいなものは如何ともしがたいです。

 けれど、逆に嫌わない、当たり前に受け入れる子もいましたから、2人は上手に楽しんでいました。

 おとなしめと言われる『乙番』にのみ配属されていたのは、そう言う関係もあるのでしょう。

 たくましかった2人は、見事卒業していきました。

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