　寮内で語り継がれるエピソードがあります。

　中卒で入社した生徒達がおりしも研修中な春。

　ぶっちゃけ寮生達は自ら望んで故郷を離れたわけもなく、家庭の事情だったり、内申書の事情だったり、いろいろです。

　特にヤンキー系の若者は、

　「こんなことやってられるか‼」ってなる訳です。

　実際働いてみると、特にです。

　で、『ぴょん』する。

　と、その寮生が会社の外周に出た途端、黒塗りのいかにもな車が急停止。

　仲間の目の前から攫われてしまう……

　ってヤツです。

　『某国の試着室の床のふたが開き緊張感のない日本人は攫われてしまう』とか、

　『路線にないはずのきさらぎ駅に着く』とか、そういうやつだと思っていました。

　ただ以前書いた塀を乗り越えられず逃げ損ねた寮生が、実体験として語っておりました。

　え？マジなの？

　おそらくは逞しいうちの寮生達の事、ナンパしてきた相手と示し合わせて『足』を用意していたとか、そういうやつだと思いますが……

　春先はそんな危険人物が獲物を狙っているとか、怖すぎるんじゃーい‼

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