第89話 おしゃべり

 さて、『いきなり何を?』とお思いでしょうが…

 私はおしゃべりです。

 って言うか、『余計なことを話す』という意味のおしゃべりではなく、『沈黙が耐えられない』タイプ。

 まあ、女性にはよくあることだし、そこまで致命的とは思っておりませんでした。

 企業内高校の先生…と言うか、寮管の仕事に就くまでは。

 寮にはたくさんの人が暮らしているので、時折急病人が出ます。

 昼間ならいいです。診療所に連れていくなりすればいいし、救急車を呼ぶにしても診療所が判断します。

 けれど、それが夜中だと?

 絶対に救急車を呼ばなければならないほど、はっきりとした緊急事態は少ないものです。

 って言うか、ちょっとしたことですぐ救急車🚑は世の中の迷惑になりますし、大抵社用車か自家用車を使って、車で夜間救急に連れて行くのが正解となります。

 相手は体調が悪いのです。

 喋っている場合では無いのです。

 わかっています。わかっているんですけど…

 延々喋ってしまうんですよ、こっちも居心地悪いから。

 「ごめん。静かなことが耐え切れないだけだから。返事しなくていいから」とか、言い訳までして話しまくる。

 今現在の私から、過去自分へ。

 お前ちょっと落ち着け‼

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