第33話 診療所のこと

 企業内高校があるくらい大きな会社ですから、構内には診療所がありました。

 女子寮生達はもちろん、体調不良の男性従業員達を利用出来ます。あと、工場内で事故があった場合の初動対応。

 福利厚生ですから、診療費はかかりません。

 この字面から、

 『なかなか便利じゃんか』と思った方。

 そうはいかないのが昭和レトロのお約束ってやつでして。

 まあ、良くも悪くも元気過ぎる、平たく言えば言うことをきかない、女子寮生が相手なので。

 常勤のお医者さんは、引退目前の年配のおじいちゃんです。

 腕前は…

 想像通りです(や◯医者です)。

 むしろ怖いのは看護師さん達でした。

 座薬は、入れて下さります。

 特殊な方しか喜ばないと思います。

 薬は目の前で飲まされて、飲み込んだか確認されます。

 なんかもう、閉鎖病棟なみの厳しさは、まあ、寮生軍団が素直に言うことをきかないせいで、信用ゼロなせいですが…

 週に数回、提携している総合病院からお医者さんが派遣されます。

 急病以外はここを狙うのですが、混むんだよね。

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