二四年五月の3つのお題140
診断メーカー「小説で使いやすいかもしれないフリーお題メーカー」より、二〇二四年五月にTwitter上で掲載した140字の文章です。
お題は「朱い軍靴/荒城に照る/汝悪党なりや」。
●朱い軍靴
花畑を踏み荒らしたのは、朱い軍靴の男たちだった。国境での防衛に赴くのだという勇者たちを、村人たちは睨み付ける。彼らが踏みつけているのは、村の収入源となる油の採れる花だった。
「穢らわしい」
誰かが吐き捨てる。朱い靴が血濡れて見えて。
忌まれてもなお、軍靴は進む。命踏み荒らしながら。
●荒城に照る
城跡を描いていた絵筆を止めた。城壁とその周囲の山並みを模写した絵からは何も伝わらない。それが不満で手を加えていると、日が暮れる。落日に照らされた城壁は燃えているよう。かつての歴史の再現だ。
これだ。
私は再び絵筆を動かした。絵の中で城を燃やしながら、そこに居た人々に思いを馳せた。
●汝悪党なりや
女王の前に亡命者が現れた。男は敵国の情報と引き換えに自分と家族の安全を求めた。
女王は男の家族に迎えをやった。しかし、道中家族は殺されてしまう。
兵士に襲われた、と女王は悲しげに告げた。男は敵国に復讐心を滾らせ、女王に忠誠を誓う。その兵士が女王が仕向けたものだとは知らぬままに。
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