あの紅葉が学校を休んだ。

はるにひかる

第1話:ありふれた月曜に。

美沙みさちゃん、今日紅葉もみじちゃんが休んでるけど、何か知らない?」


 2限後の少し長い休み時間放課、次の英語の授業の準備をしている私に、隣のクラスの赤池あかいけ万梨阿まりあちゃんが尋ねてきた。

 『紅葉』というのは、私の幼稚園の頃からのお友達、青山あおやま紅葉もみじの事だ。

 ――紅葉、休んだんだ。道理で今朝は通学路で会わなかったわけだ。

 健康優良児、……というか、風邪をひいても根性で皆勤賞を取り続けてきた、あの紅葉が、どうして。

 青天の霹靂、鬼の霍乱かくらんってところかな。……乱獲らんかくしちゃだめだよ。


「先生も何回か電話したけど、出ないみたいなの。美沙ちゃん、何か知らない?」

「ごめん、私も何にも聞いてないや。土日も別々だったし」

「そっか。何か分かったら教えてね!」

「うん、もちろん。うちの紅葉が心配かけてごめんね、ありがとう」

「あはは、いつもお宅のお嬢さんをお借りしてます!」


 万梨阿ちゃんは「じゃあね」と手を振って、自分の教室に戻って行った。


 さて。

 ――これは、事件ですね。

 幼馴染の私にも何も言わず、紅葉が突然学校を休んだ。

 その謎を、絶対に解いてみせる。


 ミステリー作家である、おばあちゃまの名にかけて!

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