第6話 出発前日
準備を全て終えた。持っていくものの確認を繰り返し、地図や乗車票を印刷した。買ったメモ帳には、ホテルや目的地への最寄り駅を記入した。
準備は全て終わった。出雲大社に行く前に宇美神社で縁切りをすれば、よりよい良縁を結べると聞いたので行くことにした。
二十七日は、もう何の目的も持たずに一畑電車沿線を適当に降りて散策することに決めた。自転車の貸出を行っているため、電車に乗らず自転車で向かうのもよいかもしれないと思った。
ただ一応調べてみると、粟津稲生神社が良いフォトスポットになっているらしい。最寄り駅の高浜駅で降りることに決めた。最終日には、松江城に行くことにした。
そうだ、考えられうる準備は全て終わった。
今、私の気持ちは不安とドキドキで満ちている。あまり陳腐な表現は使いたくないがしかし、実際その場面に直面すると表現に窮することはしようがないことだ。
何が起こるだろうか? あるいは、何も起こらないかもしれない。私の気持ちに変化は起きないかもしれないし、小説のよりよいアイデアが浮かぶこともないかもしれない。
しかし、それでもいい。
私が求めていたのはなんだったか? それを思い出せばいい。スマホを持たず、本を読み、晴天の下で郷愁に馳せる。小説のアイデアを求めて旅に出た。
そして、ただ楽しみに行くのだ。
ちなみに持っていく本はこんなところ。
・万延元年のフットボール(大江健三郎)
・深夜特急(沢木耕太郎)
・砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない(桜庭一樹)
・わたしたちが孤児だったころ(カズオイシグロ)
・檸檬(梶井基次郎)
・その日東京駅五時二十五分発(西川美和)
それでは行ってきます。
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