世間ではシャンプーをしているとき視線を感じるらしい。他にも後ろから視線を感じるだとか、そういう時は上に霊がいるだとか。それも私にとっては「らしい」の分類に入る。あとは襖の間とかカーテンの隙間だとかから視線を感じるというのも聞いたことがある。これはなんとなくわかる。じっとこちらをうかがっているのだ。直線のその先からこちらを、虎視眈々と。

 私はホラー映画だとか怪談話が好きでよく嗜むのだが、映画館に行けなかったときは有料の動画配信を活用したりしてパソコンの小さなディスプレイで楽しむのだ。画面をじっと見つめ、暗い画面の中で怪異が起こる様に集中する。はたまた、恐怖の文字の羅列を追っているときでも良い。画面を見たままふと集中が途切れ、意識が画面の外に向いた時が私は一番恐ろしい。

 画面の縁、真っ直ぐな線の向こう側から血の気のない指がこちら側へ侵食してくるような気がしてならないのだ。

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