猫たんに対して変態になるのは仕方のない事だと思うんです。
前略
お兄様
妹はイケメンをお父さん呼びしました。
心が痛いです。
★異世界にトリップしましたが、何の能力も無くて生きるだけで精一杯です!★
空色の目の彼からのツッコミを華麗にスルーを決め、分かっている範囲の話をする。
①日本という国で仕事をしていた
②お客様にお会いする為、電車に乗っていた
③電車で少し眠ってしまった
④目が覚めたらここに居た
簡潔にまとめるとこうだ。
いや、本当に意味分からんな。
お客様、めちゃくちゃ待たしてるから内心恐怖を感じる。
クレーム来たらどうしよう。
書類作成もメール返信も溜まってるから、本気でヤバいのよね。
空色の眼の彼は何か思考しているのか、黙ってしまった。
明らかに暇なので猫たんを撫でることにしよう。
耳横付近をこしょこしょ撫でると気持ち良さそうに目を瞑る。
その瞬間、私の猫欲は爆発した。
猫の好まれるであろう顎下や尻尾付近を撫で撫でする。
欲望に忠実な私は変態の如く鼻息を荒くする。
ここか?ここがええんやろ!ハアハア
好きぴ…
飼い主に怒られても弁明すらできない始末である。
「お前が異世界人である事は、ほぼ確定だ。」
あ、やっぱり異世界なんだ…
異世界トリップや転生を何度も望んだくせに、今は帰りたい。
私の家、私のゲーム、漫画、布団…
あ、外に洗濯物干しっぱなしだ。
今日は休日出勤で早く帰るつもりだったのにぃ!
「ルゼルがお前を気に入った様子が見られる。
お前は、私が責任を持って保護しよう。」
「別に、この女の事は気に入った訳じゃ無くてよ。」
…え、今第三者の声したよね?
お嬢様口調の少しツンとした可愛らしい声が。
周りを見渡すも騎士っぽいひとが少し遠目にいるくらい。
周りにお嬢様はいない。
「何処を見ていますの?
まさか、気づいていらっしゃらないの?」
やはり、聞こえる…
困った私は横にいる彼に見る。
空色の眼の彼は、視線に気づいたようだ。
彼は何も言わずに目線を猫たんに向けた。
私も猫たんをみると、猫たんはこちらを向いていた。
「やっとこちらを見ましたわね!
気づくのが遅くてよ!!」
…猫たんが喋ったああああ!!
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