幕間
図書館に行こう!
ノエルが現れた翌日の朝。アレックスは図書館に行くことを突如思いついた。なぜならアヴァロニアの六王について何か情報が収められている可能性が高いからだ。そうと決まればすぐ行動するアレックスだった。
「ここがアヴァロニア王立図書館か……エリンの図書館より大きいなぁ」
アレックスは王立図書館の感想を述べるとアヴァロニア王立図書館に入館した。
図書館の内装は小ぎれいで手入れが行き届いているという印象を植え付けていた。アレックスはまず図書館のリファレンスコーナーを探した。数分もたたずにそれは見つかった。
「すいません、アヴァロニア王国の歴史についての本を探しているんですけど……」
「なるほど、アヴァロニア王国の歴史を知りたいのですね。アヴァロニア王国の歴史は専用の書架を設けています」
そう言って図書館司書は書架の番号を書かれた紙を渡してくれた。
アレックスはその紙を頼りに図書館を移動し、アヴァロニア王国の歴史について書かれた書架を見つけ出した。
「この書架一面がアヴァロニア王国の歴史に書かれた書物に満載しているんだ……さすがアヴァロニア。大陸の覇者になった経験のある国は一味違うな」
その書架の偉容にアレックスは思わず息をのんだ。
(マスター、アヴァロニアの歴史とアヴァロニアの六王について調べるんでしょ? 早く調べようよ)
アスタロトにせっつかれアレックスは調べ物を開始した。
◆◆◆◆◆
【アヴァロニア統一記:序】
アルビオン大陸が混沌の闇に包まれていた頃のことである。勇敢なる騎士王、ハービンジャー・ペンドラゴンはアルビオン大陸の混沌の闇を晴らすべく強く気高い円卓の騎士を率いてアルビオン大陸各地に進軍した。
しかし腹心のジューダスの裏切りにより円卓は崩壊。ハービンジャー王も無念の戦死を遂げた。生き残った少数の騎士はハービンジャー王の忘れ形見である生後まもないヴィクトリアスをジューダスの暗殺の魔の手から身を護るべくシャーウッドの森に身を隠した。こうして幼きヴィクトリアスは父親の名前を知らないまま幼少期をシャーウッドの森の中で暮らすことになった。
ヴィクトリアスが15歳の時、彼の人生に転機が訪れる。遥か東方の地より三賢者が新しき王がアルビオンの地に現れるという女神イーサの巫女の神託に基づきシャーウッドの森に来訪したのだ。そして彼らはヴィクトリアスを見出し六王の腕輪を託しヴィクトリアスに告げた。汝に艱難辛苦あり、されど彼方の地より降臨せし六王が汝の苦難の旅を手助けするだろう。
三賢者が東方に帰還してから程なくしてヴィクトリアスは自らの出生の秘密を知ることになった。そしてヴィクトリアスは父を謀殺した奸臣ジューダスを討つべく挙兵したのであった。
◆◆◆◆◆
「シャーウッドの森の少年が自らの運命を知り、アヴァロニアの王へと覚醒していく超王道英雄譚だ……アヴァロニア王の道は長く険しい道のりだったんだなぁ」
アレックスはその本を読み終えたときに涙を流していた。
(いやぁ懐かしいね。ヴィクトリアスといた日々が昨日のように思い出すよ)
「しかし、ジューダスが人類に絶望した古の魔術王サイモンに憑依されていたとは思わなかったよ」
(サイモンが最大の強敵だったよ……もう二度と戦いたくないね)
重厚な歴史物語を読んだ余韻にひたりアレックスが本来の目的を忘れていた。
「しかし物語を読むはいいものだ」
そう言ってアレックスは背伸びをしたとき、突然本が崩れ落ちる音がした。
「何が起きているのだろう……」
アレックスは本が崩れ落ちた音がした方向に向かった。するとそこには本の山に埋もれた少女の姿があった。
「すいません……誰か私の上に落ちてきた本を避けてくれませんか……私、足が弱いので自力で這い上がれないんです」
そのことばを利いたアレックスは大慌てで本の山を除去した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます