119-2
「オリビエお客さん?」
小屋の前で取れたての野菜を洗っていたウーが訪ねて来る
「違うわよ。新しい住人。カフェにあるキャンドル型のライトを作った方達よ」
「あのライトの?僕はウー。魔道具すごく興味あるんだ。色々聞かせてくれる?」
「もちろんよ。私はレキシー、魔道具職人よ」
「私は細工師のリリー。よろしくね、ウー」
「うん」
ウーは本当に色んなことに興味を示す
この先が本当に楽しみだ
「これが今空いてる小屋なの。隣の小屋は薬師の親子が使ってて水道はさっきウーが使ってたのを共同で使ってもらう感じになるかな」
「この距離なら全然問題ないわ。それに広さも充分」
「エリーが掃除してくれてたみたいだな」
ロキが小屋の中を見回して言う
誰も使ってない小屋なのにきちんと整えられていた
「ありがたいわ。テーブルとイスはどんなものでもよければ余ってるものがあるけど…」
「特にこだわりはないけどいいのかしら?」
「もちろんよ。ただ皆で外で食事する時に使わせてもらうことはあると思うけど」
「それは構わないわ」
「じゃぁとりあえず…」
私はインベントリから6人掛けのテーブルセットを取り出した
「まぁ…」
「他にも余ってる家具が倉庫にあるから使えるものがあれば声をかけてね。私かロキが運ぶから」
「…2人共収納持ちってことかしら?」
「そうですね」
「贅沢だわ…とても」
「ふふ…私もそう思います」
そう答えると皆から笑いが零れた
「あ、あとよければカフェの横にあった雑貨コーナーで売り出してもらってもいいですよ。売り出してる人が交代で店番してるのでそれが条件になりますけど」
「何から何まで…」
「こんなに好待遇でいいのかしら?」
あらあら…と半ばあきれながら言われてしまった
「お二人を紹介してくれたキリアさんにも部屋を貸す予定なんです」
「え?」
「この町でよく泊まりになるらしくて。休憩用に部屋を貸すことになってます。だから丁度来られた時に商品を買い取ってもらうこともできると思いますよ」
「お前いつの間に?」
「こないだそう言う話をしたの。雑貨コーナーの評判もいいし、あそこの商品をもっと広めたいって言うから」
「…相変わらず抜け目がないな」
「そ?」
「ああ。でもみんなにとってもいい話だと思う」
「でしょ?ちなみにキリアはこの町を経由してカクテュスの王都から例の新しい町にも行くの」
「新しい町?」
「ええ。性的マイノリティの人や被害を受けた人が集まる街よ」
「…そういえばキリアは同性愛者だったかしら?」
リリーが思い出したように言う
「ご存知だったのね?そう。キリアは同性愛者で居場所がなかったから商人になったらしいの。そんなキリアだから新しい町に荷を運ぶには適任だと思うのよね」
「そう進言したってわけか?」
「ええ。勿論最終決定は向こうに任せたけどね」
まぁ当然だけど
「何にしてもこれからの目途が立ってホッとしたわ。オリビエ声をかけてくれてありがとう」
「私からも感謝するわ。本当にありがとう」
「私にも魔道具作ってもらうっていう下心があるからそんなに改まらないで?これからみんなで楽しく暮らせればそれで充分だもの」
「ええ、そうね」
「小さな子供がいるなんて楽しみだわ」
「リリーは子供に目がないものね」
「当然でしょう?子供ほどかわいいものは無いんだから」
全力で子供が好きだと訴えるリリーに子供達がすぐに甘えるようになったのは言うまでもない
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