102.テラス席

102

休みの日、ロキとジョンとウー、ハリーにサロンに集まってもらった

「突然どうした?」

「カフェを拡張しようと思ってるの」

「「「拡張?」」」

ジョン達の声が揃っていた


「お客さんも増えてきたからそろそろとは思ってたんだけどね」

「そこでダビア達からの要望が来たから決行か?」

「あたり」

ロキに頷いて返す


「ダビア達からの要望?」

「そ。騎士や子連れのお客さんが店内は気を使うって言うからね」

「なるほど。汚れと騒がしさか?」

「そういうこと。あとは店内だと狭いみたいだからテラス席を作ろうと思ってるの」

確かに大柄な男性がゆったりできるような空間ではない


「テラス席ってことは今ある外のテーブルをそのまま使う感じか?」

「とりあえずそれで様子を見ようと思ってる。ただ雨を避けるのに開閉できる屋根を付けるつもりはしてる」

「それは俺が引き受けよう。魔道具を使ってもいいんだろう?」

ハリーの中ですでにイメージが出来てるらしい


「もちろん。その辺りは任せるわ」

「壁は?」

「壁というよりは柵かな?壁にしちゃうとテラスにならないし」

「確かに」

ジョンとウーが頷いた


「柵はどんなものを?」

「それをジョンとウーにも一緒に考えてもらいたいの。テラス席から木や花が楽しめたらいいなと思って」

「ほぅ…」

「今でも花の香りは評判がいいからね。そういう自然に触れあえる感じがいいと思うのよね」

「なるほどなぁ…」

「通路はどうするんだ?」

「雑貨スペースもあるから今の通路はそのままかな? ただ食べる時に落ち着かないと思うから植物の柵があるといいんだけど」

完全に腰壁なんかで区切るようなことはしたくない

自然な目隠しがいい


「通路寄りに1m程の木が無難か。完全に遮るより隙間から見えた方が閉塞感は無いだろうから…」

ジョンがブツブツ言いながら本棚から植物の本を取ってきた


「蔓性の植物が手に入るならこんなのはどうだ?」

ハリーが格子状のパネルと鉢植えが一体化したような図を描いていく

「トレリス付きのプランターか!それなら模様替えや植え替えも楽しめるな」

「反対側のトレリスはデザイン替えたパネルにすることもできる?」

「そりゃ構わんが」

「こんな感じで横板を並べた感じがいいんだけど」

ウーがハリーの書いた絵の横に描いていく


「どうする気だ?」

「親父の花、増えてきたのを株分けしてここに吊るしても面白そうだと思って」

「なるほどなぁ。これなら花の量や大きさでいつでも場所が変えられるか」

「通る時にも目で楽しめそうだな」

3人での共同作業が始まりそうだ


「通路じゃない方は庭自体との一体感があった方がいいよね?」

「当然だ。どうせなら…」

あーでもない、こーでもないと3人での議論が始まってしまった


「…とりあえず3人にお任せかな?」

困惑気味につぶやくとロキが笑い出す


「何で開閉できる屋根なんだ?」

「天気や日差しによって開閉出来たら便利でしょ?せっかくの外だし」

「庭のつくり方によってはピクニック気分が味わえそうだな」

「確かに!」

ジョン達が張り切ってるから景色は期待できそうだしね


「ピクニック出来る場所まで行くのは大変だから丁度いいかも」

ピクニック出来る場所まで1時間以上歩かなければならない

小さな子供がいたら荷物の事も考えるとかなりの重労働になる

カメリアたちがピクニックに行くときは、ジョンとナハマも一緒に行くからその辺りは大丈夫みたいだけどね


「そういや店拡張したら1人じゃ厳しいだろ?」

「そこはカメリアと交渉しようと思ってるの。正式にカフェのスタッフを兼ねて契約し直そうかなって。あ、もちろん掃除に誇りを持ってるから1階と私たちの部屋は継続してもらうつもりだけどね」

「他の部屋は?」

「掃除のスタッフをもう一人雇ってもいいかなって。ダメかな?」

「いや、1階をカメリアが担当してくれるなら俺は別に構わない。流石に普通の屋敷と異なる部分が多すぎるからな」

異世界の品が溢れ返ってるしね

信用できない人を雇う気はないけど隅々まで知るのはカメリアだけの方がいい

カメリアだけに知らせてジョン達も知らないことはかなりあるから


交渉のタイミングでみんなの報酬アップの交渉をすることくらいは、ロキなら言わなくても理解してそうだ

カクテュスの領土になったから、その辺りをこじつけて説得すれば何とかなりそうだしね

結局昼時になるまでテラス席のアイデアを夢中で考えてしまった

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