96-2

「悪い遅くなった」

暫くして飛び込んできたのはマロニエとシュロだ


「お帰りマロニエ」

「ローズ、もう来てたのか?」

「ええ。手伝おうと思って。マロニエはどこに行ってたの?」

「迷宮にチーズを調達しに」

そう言いながらチーズを取り出すとテーブルを覆うほどの小山が出来上がった


「俺のはこっち」

シュロも同様に小山を作り出す


「…判定は?」

尋ねると2人が顔を見合わせ笑い出す


「俺の勝ち。2つ差だけどな」

シュロが言う


「途中で何回か比べたんだけどさ、ことごとく引き分け」

「そうなんだよな。おかげでこの時間になっちまった」

「ねぇ、話が見えないんだけど?」

ローズがマロニエの腕をつついて言う


「あぁ、つまみ用のチーズを迷宮に取りに行ってたんだけどな、シュロとどっちが多く取れるか勝負してたんだよ」

「…それって勝負するようなことなの?」

「まぁ大して強い魔物じゃないからな。ただ倒すより俺らも楽しめるし」

強い魔物じゃないって言うけど、中級迷宮の26層なんだけどね?

心の中で突っ込みながらチーズを確認する


「このチーズはどうするの?」

「とりあえず盛り合わせかな」

「じゃぁ私も手伝うわ」

ランがそう言いながらチーズに手を伸ばす

平らなお皿を10枚ほど取り出してテーブルに置くと盛り始めた


「シュロ」

「ん?」

「このホルモン先に持って行ってくれる?後でチーズ取りに来てくれると助かる」

「オッケー」

シュロは漬け込んだホルモンをインベントリにしまって庭に向かった

それを見て私もチーズの盛り合わせを作り始める


「オリビエ凄い…」

ランの言葉で皆が私の手元を見る


「ん?」

「すごくきれい…ランと比べるとヤバいわね」

「いや、私は普通だと思うんだけど?」

ランが少しムキになる

ランは外の包みを剥いただけの状態で並べている

私は飾り切りをしながら並べているのでその違いは大きいかもしれない


「はは…一応これで生活してるからね」

「それはそうなんだけど…」

「まぁいいじゃない。この機会に真似して覚えればいいってことでしょう?」

少し落ち込むランにアマリリスが言うと“それもそうね”と一気に気持ちを切り替えた

ある意味凄いと思う


「チーズ出来た?」

「3皿出来てる。みんなもう来てる?」

「おう。あとはお前らだけ」

「本当?じゃぁ残りは向こうで準備した方がよさそうね」

別にここでしか出来ない作業なんてものはない

私はチーズの山をまずインベントリにしまうと皆が切ってくれた肉を手分けして運ぶ

インベントリに入れてもいいけど、せっかく大勢いるならそのまま持って行けばいいってみんなの意見を聞いただけなのだけど、この人数で両手で運ぶ量の肉というのも中々なものだった

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