95-2

「ランおはよう」

「おはよー」

「屋敷の方に来てくれても良かったのに」

「気にしないで。ここ、花の香が心地よくて好きなのよ」

「そう?ならいいんだけど」

応えながら店を開ける


「そうだラン」

「んー?」

「今日の夕方から庭でバーベキューパーティーするんだけど皆時間ある?」

「皆って私達?」

「そう」

「今日はポットラックパーティーしようって言ってるくらいだから、皆それ以外の予定はないと思うけど」

「ならこっちに参加しない?ソンシティヴュから引き抜いた特攻騎士と精鋭も参加するんだけど」

「騎士!?」

ランの目が輝いたのを見てロキが苦笑する


「カプシーヌは彼も連れてきてくれて良いって伝えて?」

「分かった絶対伝える。オリビエありがとう!」

ランは私の手を握ってブンブン振り始めた

元々騎士が好きなランはお客さん以外の騎士と知り合う機会を求めていた

でも自分から積極的に関わりに行けるタイプではない


「きちんと時間を決めてるわけじゃないから適当に来てくれる?早くても多分おじさん連中が先に始めてるだろうから」

「はは…確実に始めてるな」

ジョン、オレゴン、ナハマが3人揃えば先に始めないはずがない

きっとそこに迷宮狂いの4人も加わっているはず


「じゃぁ一旦帰って皆に伝えるわ。楽しみにしてる」

ランはタグをつけた商品をケースに入れると帰って行った


「かなり飢えてるな」

「ロキ、言い方!」

本当に元も子もない言い方をする…


「まぁ、騎士の方も似たようなもんだし問題はないだろ」

「そういう問題?」

「他にあるか?」

「…ない、わね」

むしろ騎士達がこの町に居る理由を得ることでメリットしかないかも

今はどうしてもソンシティヴュから亡命してきたお客さん的な立場だから


「今んとこ騎士としかつるんでないらしい。今日をきっかけに町の者と付き合いだしたら精神的にも楽になるだろ」

「だといいね。居場所はやっぱり大切だもの」

ロキを見て言うと抱きしめられる

そして深い口づけを受け止めるととろけるような優しい笑みが降ってくる

その笑みを見ていつも幸せだなーって思う自分がいたりする

私が今この世界で笑顔で暮らせるのはロキのおかげだと思うから


「俺も準備手伝うよ。切るくらいならできる」

ロキはそう言いながら調理場に入っていく


「ありがと。じゃぁ野菜を大量に」

調理台に大量の野菜を出すと1種類ごとに少しずつ切ったものを用意する

ロキはこれだけですべてを仕上げてくれる

私はランチの準備を並行して行いながら少しずつバーベキューの準備も進めていった

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