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「どう判断するかはお前たちの自由だが…これは施しではなく罰だ」
”罰”という言葉を強調されていきり立っていた女たちが言葉を飲み込んだ
「当然一定の働きがない者に関しては自分の立場が分かっていない愚か者と判断し、し尿処理の仕事に回すことが決まっている」
「し尿処理なんてあんまりよ…」
この世界のし尿は地下ルートを通して1か所にためられている
大人の腰くらいまでの壁で区画が区切られていて、満タンになれば次の区画に溜められる
その満タンになった区画のし尿を特殊な粉末の薬とかき混ぜると透明な液体になって流れていくのだがその混ぜる作業は肉体的にも精神的にもきつい作業と言われている
酷い臭いと熱さの中で何日もかけてし尿をかき混ぜる作業は囚人の仕事だ
「嫌なら畑を守ればいい。何もせず許されるなどという奇跡は起こらない」
これまでが異常だったのだといい加減に気付かない物かと騎士は思う
「畑は2人で1区画、ただし5歳以下の子供は母親と一緒だ。全ての作物をダメにした場合も、し尿処理行きになる。せいぜい頑張ってくれ」
そう告げられた途端青ざめる女性が数人、悲鳴を上げる女性も数人…
「フジェの町まで10日ごとに荷馬車を出してやる。そのタイミングからずれる場合自分たちで何とかしろ」
通常旅をする場合、ゆとりを持って途中の町で休憩するため、フジェまでは馬車で1日半~2日かかる
今はその途中の町も無人となっている上に魔術師が同行するため1日で往復できるのだ
「今から順に名前を読み上げる。呼ばれた者は呼んだ者に従え」
最初に呼ばれたのは6歳~成人前の子供だった
彼らは罰とは言え多少の優遇がされる
礼儀を持って質問すればアドバイス位はしてくれる人物が置かれるのは勿論、最初に農具の使い方や、これからの作業手順を説明される
次は5歳以下の子供のいる母親達が呼ばれた
彼女たちには子供を休ませる簡易の小屋がある少し広めの畑が与えられる
最後に残りの者が呼ばれ、案内された
割り当てられなかった畑は、子供たちにアドバイスするために派遣された農家の者が収穫のみすることになっている
収穫した野菜の一部は常駐するカクテュスの者の食事になったり、今回関わっていなかった称号持ちに高値で売り、その売却金と残りの野菜は10日ごとに出る馬車で運ばれフジェに寄付されることになった
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