66-2

「こっちで自己紹介も済んでるぞ」

「そうだったのね。全然気づかなかったわ…」

これだけ賑やかな人たちが揃ってるのに気付かなかった私っていったい…?

そこまで集中してるつもりは無かったんだけどね


「カメリアこれ仕上げお願い」

「任せて」

焼けたものを皿に乗せてカメリアに渡すとバターや生クリーム、フルーツを乗せてデコレーションしてくれる

こういう作業も随分手慣れたなぁと思わず感心してしまう

暗黙の了解で小さい子たちから受け取り食べ始める


「次はウーね」

「俺より先にシュロだよ」

「お客さんだしね」

ウーに続きブラシュも言う


「あなた達いつの間にそんな気遣い覚えたの?」

カメリアが驚いている


「カフェの手伝いしてたら何となく」

「オリビエのマネして間違う事はないもんね」

「えーそれは何か責任重大でヤダなぁ」

思わず苦笑するとみんなにも笑われた


「何かいいなぁこういう感じ」

シュロがしみじみと言う


「何だよ突然」

「ん?あぁ、なんていうかお互いに言いたいこと言い合って笑いあえるのって貴重だなって思ってさ」

「お前さん分かってるじゃないか」

ナハマがニヤリと笑う

これは何かを企んでる時の顔だ


「オリビエ、今日はバーベキューで食って飲んで騒ぐぞ」

「「バーベキュー」」

「肉!」

子供達に続き叫ぶダビアに、みんなからの呆れた眼差しが突き刺さる


「い、いいだろ別に?ちゃんと俺が食う分以上に提供するし」

「やったー。僕も食べていい?」

「ああ、いいぞ。好きなだけ食え」

2つ返事のダビアに子供たちは飛びついていく


「なぁ、バーベキューって?」

「外で肉や野菜を焼いて食う」

「え…っと?」

「…それ、間違ってはないはずなのに何か違うものに聞こえるから不思議ね」

困惑気味のシュロを見てカメリアが笑いながら言う

確かに間違ってはいないのよね

でもそれでバーベキューをイメージできる人は多分いないと思う


「ロキの説明は簡潔すぎて言葉足らずなのかもね」

「そうか?」

「…わからない俺がおかしいわけではないんだよな?」

「そうね。今ので分からないのはシュロだけじゃないと思うわ」

「それは良かった。で、結局何なんだ?」

「まぁその時のお楽しみってことで」

「何だよそれ。めっちゃ気になるんだけど?」

シュロが苦笑しながら言った


「それよりシュロ、冒険者なんだよな?」

「ん?ああ」

「迷宮のことなんだけどさ…」

マロニエとダビアはシュロが冒険者だと知ると迷宮の話に夢中になった

3人の話を子供たちが目を輝かせて聞いている

その表情からはワクワクしてるのが見て取れた


「なぁクロキュス」

「あー?」

「俺しばらくここにいていいか?こいつらとフジェの迷宮全部攻略するわ」

シュロがそう言いだすまで時間はかからなかった

全部攻略するとなると1か月ではとうてい足りないだろうけどね


「好きにすれば?時々食材提供してくれりゃそれでいい」

どうやら住人が一人増えたようだ

同時に子守役が3人の交代制になり、相手してくれる人が増えたと子供達は大喜びだった

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