51-2

少しずつ聞こえてくる声が大きくなる

「…なんかすごい人数?」

「クロキュス様の従兄妹に当たる方やそのお子様も揃っておいでですので」

「なるほど。本当に王族が文字通り勢ぞろいしてるってわけか」

呟くロキの目の前に広がった広い空間

パット見50人を超えるだろう人が集まっていた


「クロキュスこっちだ」

モーヴが私たちに気付き手招きしている


「お前たち、改めて紹介しよう」

一旦言葉が切られると先ほどのにぎやかさが嘘のように静まり返る

「シティスの愛息子クロキュスとその妻オリビエだ」

私たちはモーヴの横で会釈する


「クロキュスはSランク冒険者、オリビエは先ほど試練の迷宮を30分程で攻略した」

どよめきが起こる

「聞きたいことは色々あるだろうが、まずは食事を楽しむといい」

それを合図に成人を迎えていない子供たちが我先にと料理を取りに行く


「王族が集まるときはバイキング制にしている。お前たちの席はここだ。好きなものを取ってくるといい」

その言葉に心が浮足立つ


「お前…」

「え?」

「何でもない。行くぞ」

促されて料理の並んだ場所に向かう


見たことのない料理が所狭しと並んでいた

それらを少しずつ皿に盛りつけていく

「まぁ、きれいに盛り付けるのね?」

ラミが驚きながら皿に見入っていた

「こいつカフェのオーナーだからな。そういうの自然とやってのける」

「そうなのね。私はそういうセンスがないから羨ましいわ」

ラミの皿を見るとゴチャっとしていた


「オリビエこれ美味しいよ」

小さい女の子がコロッケのようなものを指して教えてくれる

その手元の皿を見ると同じものが5つ程乗っている

よほど好きなようだ

「ありがとう。食べてみるわね」

私はお礼を言って1つを皿に乗せた

それを見て満足げに頷くと少女は戻っていった


食事が落ち着くと私たちの周りには入れ代わり立ち代わり色んな人が来てくれた

不思議なことに皆好意的だった

従兄妹に当たる青年達と話すのはロキも楽しそうで少しホッとする

特にラミの息子で同じ年だというシュロとは意気投合したようだ


「疲れてないか?」

「大丈夫。シュロと随分意気投合してたね?」

「ああ。冒険者してるらしい」

「王族が?」

「王位継承権は成人した時に放棄したらしい。俺の継承権も母さんが放棄してるから同じ立場だな」

「これだけいれば特に困らないか…」

同じように継承権を放棄してるものが含まれていたとしても、次代の王になれるだろう者が5人以上は見て取れる


「シュロの場合は帝王学を叩きこまれるよりも魔物の生態を調べる方が楽しいらしい。お前とも気が合うと思うぞ?」

「どの点でそれを納得すればいいのかしら?」

「この国の迷宮情報をお前と同じように集めてるみたいだ」

「え?」

その情報は是非欲しい


「フジェノ迷宮情報と交換してもらえば?その内カフェに来るって言ってたから」

「流石ロキ。ありがとう」

喜ぶ私にロキも優しい笑みを返してくれた

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