44-3

男の言うようにすれ違う馬車には時々踊り子が乗っていた

彼女たちの中には移動中も男の分身を自らの体に咥え込んだままの者もいた


「踊り子ってそういう仕事なの?」

「…仕事は踊ることだ。でもその場を自分で得るのは難しい。だから商人に気に入ってもらおうとする」

「商人に気に入ってもらえたら仕事がもらえるの?」

「そうだな。俺もだが一部の商人には贔屓にしてる称号持ちもいくらかいる。気に入った踊り子なら話題の一つとして話すこともあるな」

男は少し考えながら言う


「なるほどね。だから気に入ってもらうためにこうやって奉仕するってこと?」

私は男のトラウザーズをくつろげると男に向かい合う様にまたがった


「最初からそうだったが随分積極的だな?」

「この半年ぐらいずっと体が満足してなかったの。今はまだ全然足りない」

「そりゃ大変だな」

男は苦笑しながら私にされるがままになっていた


「すごい…馬車の振動でクセになりそう…」

石で凸凹な道は勝手に体を揺らす

そして男も慣れているのだろう、大きくはねた瞬間を見逃すことはない

いつ誰に見られるかもわからない道中という状況に、私はこれまでにない興奮を感じていた



「まって…私もう…」

「俺は絶倫だからと嫁さんに逃げられた。娼館も出禁なった店が多くてな」

今日はここで野営すると馬車を留め、火を起こすなりテントに引きづり込まれた

数時間続けられた行為に疲れ果てて言う私に返ってきたのは驚くような言葉だった

男はそう言いながら私を抱き続ける

それでも自分の体が喜んでいるのが分かった


「俺の抱きたいときに抱けるのは本当にありがたい。このままずっと抱いてたいくらいだしな」

その言葉通りかなりの時間を男とつながったまま過ごす

気付いたらオナグルのせいで蓄積された不満がどこかに消え去っていた


「残念だがここまでだな」

王宮から出て丁度1週間、町に到着しワンピースを買ってくれた直後男は言った


「私も楽しかったわ。色々情報も貰えたし」

「ならよかった。俺は荷物を降ろしたらまたすぐに王都に向けて出発だ。この先もいい旅ができる事を祈ってるよ」

男はそう言って去って行った


ある人から逃げていると零した時に、ならマアグリに向かうといいとすすめられたのだ

マアグリはこの世界に4つある国の1つでソンシティヴュと隣り合った国でもあるという

もう一つ隣り合った国があると聞いたけど名前は忘れた

マアグリはソンシティヴュで身寄りのなくなった若者が住みやすい国だと有名らしい


私はマアグリに向かうため、その道中にある街を目指す商人も含めて男を物色した

そして明日の朝発つ男を捕まえ今日の宿も手に入れた

元の世界同様、男を渡り歩いていけそうだ

意外と暮らしやすい世界なのかもしれないと思った

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