34-2
「勿論ナハマのお部屋も用意しますよ。食事も。ただ子供達もいますから静かな場所がいいと言われると難しいですけど」
「いや、それは問題ない。でもそれでお前さんに利があるのか?」
「そうですね。新鮮で上質な荒節の安定供給ですね。使いきれない分は売ることも出来ますから」
いくら今はこの世界で飼料だとしても、食べ方さえ知ってしまえば広まるという確信がある
「今すぐ結論を出さなくても少し考えてもらってもいいですよ?」
「いや、可能なら雇ってもらいたい」
「本当?」
「ああ。それでお前さんがいいのなら」
「こちらから提案して断るなんてありえないわ。じゃぁ報酬も決めないとね」
そう言うとカメリアは気を利かせて部屋を出て行った
「今の収入はどれくらいなんだ?」
「平均すれば6万シア弱だ。それより多い時も少ない時もある」
「じゃぁとりあえず6万で契約しましょうか?」
「…ほんとにいいのか?住む場所に食事も…」
「かまいませんよ。でも欲を言えば…」
「?」
ナハマと共にロキまでこっちを見た
2人とも何を言いだされるのかと少し構えた感じの表情になっている
「子ども達を気にかけてやってくれると嬉しいです。ご存知の通りやんちゃ盛りなので。さっきみたいに迷子騒動になることもありますしね」
「あぁ…それならお安い御用だ。むしろありがたい。元々孫のように癒してもらってたからな」
ホッとしたように顔をほころばせるナハマに微笑んで返す
それを聞いてロキがいったん外に出て行った
きっとみんなを呼んできてくれるのだろう
「歓迎します」
「こっちこそありがたい。これからよろしく頼む」
ナハマは座ったままだが頭を深く下げてくる
「こちらこそお願いしますね。ちなみにお部屋は3階になりますけど大丈夫ですか?」
「ああ。問題ない。日ごろから運動不足だから丁度いい」
ならいいか?
そう思っていると扉が開いた
「久しぶりだな、ナハマ。ここに住むんだって?」
「ジョンか。お前さんもここに?」
「ああ。持ち主が変わった時に出て行こうとしたら引き留めてくれた」
「僕も報酬貰えるんだよ」
「ウーも?そりゃ凄い」
ナハマは驚きながらも嬉しそうだ
ジョンとは10年以上前からの知り合いで、ジョンの奥さんやウーが小さい頃も知っているという
「荷物を運ぶなら手伝うぞ。荷台もあるしな」
「僕も手伝うよ。今から行く?」
「いや、そんなすぐには迷惑だろ?」
「大丈夫よ~?カメリアが部屋はどこでもちゃんと使えるようにしてくれてるから」
「それが私の仕事ですもの」
カメリアが得意げに言うと皆が笑う
「本当にいいのか?正直有り難いが…」
「そうよね。長屋はゆっくり眠れないもの」
カメリアが以前を思い出し苦笑する
そういえば喧嘩もよくおこると言っていた気がする
「じゃぁ決まりね。ナハマの荷物を運んでいる間に私達は夕飯の準備でもしましょうか」
「そうね。あなたたちはここで猫と遊んでなさいね」
「「「はーい」」」
3人は嬉しそうに返事した
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