32-2
「オリビエ…ロギぃ…!」
ただ事ではないコルザの声に玄関に向かう
「コルザ?何かあった?」
「オリ…うぁぁ…!」
コルザは姿をみるなり飛びついてきた
「落ち着いてコルザ。何があったか教えて?」
「…ひっ…リラ…っ……が、迷子……」
しゃくり上げながらも何とか告げられる言葉を何とか聞き取るとロキと顔を見合わせる
「今日は商店街に行ってたのよね?」
「ん」
「カメリアとロベリは一緒にいるのね?」
しがみ付いたままコルザは頷いた
「じゃぁ探しに行くぞ」
ロキはコルザを抱き上げた
「しっかり捕まってろ」
そう言って走り出したロキを追いかけ私も走り出す
ロキはコルザを抱き上げているとは思えないほど身軽に動く
おかげで商店街までさほど時間はかからなかった
「コルザ」
「う…?」
「高い所からの方がよく見えるはずだ。リラを見つけたらすぐに言え」
「わか…っ…た」
まだ泣きながら、それでも必死で言葉を返す
ロキが右サイド、私が左サイドを重点的に探しながら商店街を歩く
「オリビエじゃない、そんなに慌ててどうかしたの?」
突然かけられた声に振りむくとカフェの常連さんがいた
「マーシェリー?」
「そんなに驚いた顔をしなくても…」
マーシェリーは苦笑する
「だってあなたが商店街にいるなんて…」
「ふふ…今日はカフェが休みだからよ。それより一体どうしたの?」
「あ、実はリラが迷子になったみたいで」
「リラ…あぁ、一番小さな女の子?」
「ええ」
「その子なら少し前にそっちの路地に入って行ったわよ?」
マーシェリーは少し先の路地を指さして言う
「本当?」
「ええ。あ、でも確か…年配の男性と一緒だったかしら」
年配の男性?まさか誘拐?
でもマーシェリーの様子からはそんな物騒な感じは見受けられない
「ありがとうマーシェリー、次カフェに来た時におまけするわ!」
「あら。楽しみにしてるわね」
嬉しそうに笑いながら頷くマーシェリーと別れて、教えてもらった路地を進む
「コルザ、この路地には普段入るのか?」
「入…らな…ぃ」
その答えにロキと顔を見合わせる
悪いことが起こっていなければいいんだけど…
そう思った時聞きなれた笑い声が聞こえてきた
「リラ!」
コルザの反応の方が早かった
「そうね。リラの声だわ」
「怖い目に合ってるとかではなさそうだな」
そのことにホッとしつつ声のする方に向かう
路地を進んで開けた場所に探していたリラの姿があった
「リラ!」
「にーちゃ」
リラがコルザの声にこちらを振り向いた
「よか…た」
ロキにおろしてもらったコルザはリラを抱きしめる
「にーちゃ?」
「おや、まさかリラは黙って出てきてたのか?」
困惑したように尋ねて来たのは側にいた40代くらいの男性だった
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