27-2

「カメリアは水の日で決まりね。ジョンはどうする?」

「俺は…」

未だに納得いかないという顔を向けてくる


「ジョン、休みの日に花や野菜に詳しい人と情報交換するって手もあるぞ?」

ロキがボソッと言った

ジョンが畑づくりを手伝ってくれた知人と、本人も驚くほど意気投合し、話が尽きなかったことは皆が知っていることだ

家族を持っている人だけに、仕事が終わってから尋ねるなんてことも出来そうにない

それならと提案してくれたようだ


「それは…なら俺も水の日だ。昼間ならあいつとも会いやすいしな」

満足げにそう付け加えたジョンに頷いて返す

ナイスアドバイスと、ロキに視線だけで伝える

ちゃんと伝わっているかは知らないけどそれは大した問題じゃない


「ウー、あなたはどうする?」

「じゃぁ俺も水の日。みんなが休んでるのに一人働くのは嫌だし」

「そりゃそうだ。自分だけ働いてたら虚しいからな」

ウーの言葉にみんなが笑い出す

確かにそれは私も嫌だわ

皆が働いてる時に自分だけ休むのはちょっと嬉しいけどね


「じゃぁみんな水の日は定休日ってことで決まりね。ダビアとマロニエは…」

「俺らは適当に調整してるから問題ない。2人とも都合悪けりゃクロキュスもいるからな」

ダビアとマロニエは基本的に1日交替で子供たちを見てくれている

迷宮に潜りたいときなどは2~3日ずつに変更しながら柔軟に対応してくれているのだ


「なら大丈夫かな?その代わり無理はしないでね」

「了解」

「大丈夫だよ。楽しんでるから」

2人とも子供好きなので快く頷いてくれる

本当にありがたい存在だ

子供達にはボールを使うのは屋敷の敷地内だけと約束してもらった

誘拐とかの脅威は今のところ殆どないけど、皆が仕事をしてる時にダビア達が見てくれているから安心できる

託児所みたいな感じかな?


「そうだ、屋台で食事にするのを休みの日に合わせるのもいいかもしれないわね」

「あぁ、それはいいな。出先から時間を気にして戻らなくて済む」

ジョンがすかさず頷いた


「出かけてそのまま屋台で食べてきてもいいってこと?」

「そうなるわね」

「やった。それなら友達と食べれる」

かなりはしゃいだ様子のウーを見ているとこっちまで楽しくなってくる


「ふふ…友達をここに呼んでもいいのよ?」

「わかってる。でもそういうのとはちょっと違うかも…えっと…」

ウーはどう説明したらいいのかとアタフタしている


「別に呼ぶのがイヤって言うんじゃなくて…」

からかうために言っただけで言いたいことも分かってはいるけど、あえてそのままにしてみた

それに気づいている大人たちが笑いながら見守っていた


食費をどうするかについてはかなりもめた

食費付きとしてる以上払わなきゃと1回1000シアと提案したら全員から猛反対

定休日の事だから自分で出すと言い張るジョンと真っ向から対立した

結局間を取って一人1回500シアを定休日の回数分、報酬と一緒に渡すという形で落ち着いた

ここで働く人たちは欲がなさすぎると思うわ

そうロキの前で零したらため息だけが返ってきた

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