20-5
中々答えを出さないダビアを見てロキが口を開いた
「お前どうせ住む場所ないんだろ?とりあえずここにいて様子見てみればいんじゃねぇの?何かの契約があるわけじゃないし、イヤになりゃ出て行けばいいことだしな」
「まぁ確かに…デメリットは何もなさそうだ。でも本当にいいのか?騎士団なんて大食らい以外の何でもないぞ?」
ダビアはそっちの方が気が引けるとでも言うように申し訳なさそうな顔をする
悩むのがその点なら簡単なことだ
「気が引けるなら…たまに肉でも魚でも提供してくれれば充分ですよ」
「それならお安い御用ですね」
「あぁ。この話は正直助かる。引き受けるよ」
こうして2人はこのまま住むことが決まった
空いてる部屋はどこでもいいと伝えたものの2人とも3階の角部屋を選んでいた
「スイート人気ないね」
「寝れりゃいい人間に広さも豪華さも不要ってことだろ。正直俺もどこでもいいし」
「まぁ私もそうなんだけどね」
実際広さを持て余して、スイートに移ろうとしたらカメリアに反対された
主が最上級の部屋を使わないなんてありえないということらしい
その日の夕食は2人の紹介と歓迎会を兼ねバーベキューにした
子供たちは遊び相手が出来たと喜んでじゃれついている
あまりにも慣れた様子にロキに尋ねたら、町の巡回で子供たちが集まってくるのはよくある事らしい
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「若いのが増えると賑やかになっていいな」
「あら、私は同年代も増えて欲しいですよ?」
ジョンの言葉にカメリアが返す
「私たちは恵まれてますね」
「そうだな。ちょっと前が嘘のようだ。道具の状態を気にせずに庭仕事ができるのは最高だしな」
「そういえばこの間コルザが見慣れない箒を持ってたんですよ?私の使ってる箒で手伝ってるのを見て、オリビエが子供用の箒を用意してくれたみたいです」
「オリビエらしいな」
ジョンは走り回る子供たちを眺めながら言う
「ウーも野菜を育てることに意欲的だ。庭より畑に興味があったことさえ知らなかったが…」
「それはウー自身もでしょう?ジョンの花も同じようなものでしょうに」
カメリアはからかうように言う
ジョンが早速芽が出たと大喜びした姿を知っているのはカメリアだけだ
「あの子たちの笑顔が増えたのはオリビエのおかげ。私自身も好きな料理を楽しめるし…掃除もやりがいがあるし…」
「オリビエのおかげで仕事の楽しさを思い出したよ。それに花の種もだが初めて見るものがこれからどれだけ出て来るのか楽しみでもある」
ジョンが手にした花の種は、この町でもよく見かけるものから、ジョンが見たこともないものまで様々だった
数日前にはロキが花や野菜の育て方を記した書籍を何冊か買ってきていた
それらはオリビエが王宮でもらった本と一緒に食堂に並べられていて好きなときに見てもいいという
「これからも頑張らないとね」
「そうだな。あいつらに負けてられないからな」
若者に負けてなるものかと気合を入れる2人をオリビエとロキが微笑ましそうに見ていたのに2人は気づきもしなかった
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