12-3

その後も色々と決めていった


「後気になってるのは食堂の壁面収納なのよね」

「あぁ、結構な収納量だな」

「皆が使う場所だから、皆で共有できるものを置きたいなって思うんだけど…」

そう言うと皆が首をひねる

中々案が出ないものの何も置かないのも寂しい


「…本とか?図書コーナーみたいに誰が見てもいい本を置いとくのはどうだ」

ロキが思いついたように言う


「僕読めないよ?」

「じゃぁ絵本も今度買いに行きましょうか」

「絵本!」

ロベリがそう言ってカメリアを見る


「絵本なんて2年前に手放してから手にする機会なかったわね」

「2年前?」

「ええ。主人が亡くなって、長屋に引っ越す時にほとんどの荷物は処分してしまったのよ」

カメリアが少し寂しそうに言う


「そっか…じゃぁこれから少しずつ増やしていきましょう。あ、ジョンが仕事に関する本を買うなら経費で落とすからね」

「何?」

「じゃぁ図鑑とかは?」

「勿論、経費ね」

ジョンとウーが顔を見合わせる


「あ、ちなみにこれは王が手配してくれた本なのよ。これも棚に置いとくね」

「一般常識や礼儀作法まで…私が読んでもいい?」

「勿論誰が読んでもいいよ。読み終えるまで部屋に持って行くのもOK」

「じゃぁ俺のも適当に置いとくよ。流石に子供向けは無いけど図鑑系は何冊かあるな」

ロキがそう言いながら10冊ほど取り出した


「図鑑系は森の草木、薬草、魔物くらいか。どうしても討伐に関係するモノになるから」

騎士団だったことを考えれば納得のチョイスかもしれない

私自身冒険者をしていた時はその手の本は一通り目を通してたもの

死と隣り合わせの場で知識はとても役に立つ

だからこそ、この世界のことも少しでも知りたいと思ったのだから


「森の草木、借りてもいい?」

「ああ」

ロキは1冊をウーに渡した

それをウーが大事そうに抱えているのが微笑ましい


「俺の持ってる古い本も置いとこう。他に読む者などいないかもしれんが、数冊で埃をかぶってるより本も喜ぶだろう」

「親父の本ってじいちゃんからもらった本だろ?古すぎだって」

「いや、逆に興味があるな」

呆れたように言うウーにロキが言う


「まじで?」

「ああ。ジョン後で確認させてくれ」

「それは構わんが…」

思わぬところで需要があったと一番驚いているのはジョンだった

親から引き継いだ本、私も少し興味があったりする


「何か面白いね」

一通り決まってからそう言ったのはコルザだ


「何が?」

「誰かと一緒にモノを使うって初めてだから」

「じゃぁもし子供が増えることがあったら、おもちゃも一緒に使うといいかもしれないわね」

カメリアの言葉にコルザは驚いた顔をした


「いいかもしれないね。せっかく遊び部屋があるんだしその一角に棚でも置いとこうか?」

そうなるとやっぱり木工職人が…


「お前木工職人欲しいと思ってるだろ?」

「…バレた?」

「顔に出てる」

呆れるロキに苦笑する

でもやっぱりお知り合いになりたいと思う気持ちは大きくなるばかりだった

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