9-2

「ここが僕たちのお部屋?」

飛び込んできたロベリが目を輝かせながらそう尋ねて来た

どうやら片づけが終わったようだ

少し遅れてリラを抱いたカメリアとコルザが入ってきた


「とりあえず必要そうなものは揃えたつもりなんだけど足りなければ言ってね」

「とんでもない。充分すぎますよ」

カメリアは焦ったように言う


「お兄ちゃんフカフカ!」

「本当だ!」

コルザとロベルはベッドにダイブしている


「荷物は全部ここに積んであるからゆっくり整理して頂戴ね。手が必要ならいつでも声をかけてくれればいいから」

「何から何までありがとうございます。ジョンにも感謝しかないわ」

「俺は呼びに行っただけだ。気にすんな」

ジョンは笑いながら言う


「じゃぁ俺らは部屋に戻るよ」

「ウー兄ちゃんたちの部屋も見たい!」

「おーいいぞ。一緒に来い。3階まで競争だぞ」

コルザとロベルはウーと一緒に走って出て行った

その後をジョンがゆっくり歩いていく


「あの子たちがいないならちょうどいいわね。報酬の話をしましょう。とりあえず今までと同じ7万シアをと思ってるんだけど…」

「報酬なんてとんでもないわ…住む場所も食べるものも充分すぎるくらいなのに」

カメリアは首を横に振る


「そういうわけにはいかないわよ。食べる物はあっても服や日用品もいるだろうし、他にも色々必要になるでしょう?それに子供たちが大きくなれば勉強だってしなきゃいけないし」

「そんな贅沢なことは望んでないわ。今までだってその日を過ごすことが出来れば十分だったんだから…」

「でも流石に報酬なしって言うのはちょっとね…」

どうしたものかとロキと顔を見合わせる


「あの…では3万シアでお願いできますか?今まで7万シアと言っても4万シアは家賃でしたから…」

「手元にあったのと同額ってこと?」

「ええ。それでも多いくらいなんです。そこから食費を払ってましたから」

カメリアは申し訳なさそうに言う


「…わかったわ。カメリアを困らせたいわけじゃないからそれで手を打ちましょう。でも必要になったらいつでも言ってね?ここの掃除の対価は本当なら7万シアでも安すぎるくらいなんだから」

実際通常であれば一人でする大きさの屋敷ではない

最低でも2~3人は必要なところを、カメリアは1人でこなしてる

子供達も多少手伝って入るんだろうけど、その手際と効率は素晴らしいものだ


「それと、掃除道具で必要なものは全部経費扱いだから雑巾1枚でも申請してね。これはジョン達にも言ってることだから譲らないわよ」

「…わかりました」

カメリアは苦笑しながらうなづいた


「じゃぁ片付けもあるでしょうから私たちは行くわね。おやすみリラ」

「おやしゅみー」

カメリアの腕の中で手を振っているリラを少し眺めてからロキと共に部屋を出た

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る