第2話 旅の前の打ち合わせ…
俺は城の中を歩いていると…ユウトに会った。
まだ沈んでいるのかと思っていたが、向こうから声を掛けて来た。
「サクヤ…色々とすまなかった!」
「別に…ユウトが謝る様な事ではないだろ?」
「マサギの事は…本来だったら自分達が止めなければ行けなかったはずなのに…サクヤに任せっぱなしになってしまった。」
「気にするな…あの程度の事は慣れている。」
6回の異世界召喚で学んだ事は…飢餓の状態や欲にまみれた人間の行動は、例え親友と呼ばれた人間でも翌日には変貌する可能性がある。
なので、常に警戒を怠るなという事だ。
まぁ…実際に、マサギの事を信じてこうなった訳だから…。
「それで…そんな話をする為に俺に声を掛けたのか?」
「いや…騎士団長から聞いたのだが、サクヤは旅に出るという話を聞いてね。」
「あぁ…近々出発する予定だ。 なんだ、見送りでもしてくれるのか?」
「自分も…サクヤの旅に着いて行ってもいいか?」
「その話…マミはミクは知っているのか?」
「知らない…話してないからな!」
着いて来るのは構わない…ユウトにもまだまだ教えたい事があるからな。
だが…旅をするという事が恐らくユウトには理解が出来てないだろう。
その辺を探ってみるか。
「言っておくがユウト、生半可な覚悟で言っているのなら…やめて大人しく城にいろ!」
「生半可な気持ちで言っている訳じゃない! 自分は…」
「なら、お前の気持ちを確かめてやる。 それで合格点に達したら、許可をする。」
「あぁ…頼む!」
「言っておくが、俺はあちこちで魔王軍に喧嘩を売る訳だが…危険度は魔獣の徘徊する森以上に危険だが平気か?」
「あぁ、覚悟は出来ている!」
「ユウトの旅をするという目的を話してくれないか?」
「旅の間に知識や経験を蓄えて、仲間の為に役に立って見せようと…」
「30点だな、同行は許可出来ん。 大人しく城にいろ!」
「な…何故⁉︎」
何故って…ユウトはそんな事も分からないのか?
「ユウト、お前はこの世界に留まるつもりか?」
「いや…そんな気はない。」
「なら、何故それを言わん? 旅を完遂する目的が、元に世界に帰る事だ!…という強い気持ちが無いと達成なんか出来んぞ?」
「あ………最終目標は帰る事なのは変わらない。 それが答えだったんだね?」
「お前…賢者の癖に頭悪いな。」
「くっ………」
「ではもう1つ質問しよう。」
「あぁ…」
「俺は旅の最中は色々教えてはやるが…あくまでも身を守るのは自分自身だ。 だから、お前がどんなに危険な状態でも護ったり庇ったりはしない…それでも平気か?」
「あぁ、自分の身は自分で守る‼︎」
「良い答えだな…良いだろう、同行を許可する! それで…お前達はどうするんだ?」
「え?」
俺の背後の方の積まれた荷物の影から隠れて聞いていたミクとマミが出て来た。
ユウトの驚いた顔を見る限り、気付いていなかったみたいだった。
「いつから気付いていたのよ?」
「初めっから…俺がユウトと会話してからすぐに、お前らは出るタイミングを窺っていただろ?」
「何で…」
「気付いていたのってか? この程度の気配に気付かないと、外では生きてはいけないし、生き残れないからだ!」
女子にはキツイ話だっただろうか?
まぁ、無理も無い…俺は第一の異世界召喚の時以来、パーティーメンバーに女がいた事はなかったからな。
その時のメンバーは…俺よりも卓越した能力を持っていた者だったから、全くの素人という訳ではなく自衛が出来ていた。
だがこの2人の女子は…技術があっても知識は無い上に、どう扱ったら良いか正直分からん。
平和な世界で暮らしていると、こう言った世界では足元をすくわれかねない。
「お前達にも確認するが…覚悟はあるんだよな?」
「「勿論よ‼︎」」
「魔王軍には常に狙われるし、魔物だっていつ襲って来るか分からん。」
「覚悟の上です!」
「街とかなら平気だが…村の宿で泊まっても、決して安全では無いし…人も荒んでいる者も多い。」
「自分の身は自分で守るわ!」
「それにな…」
「まだあるの?」
「旅先では風呂に入る事は出来ないし、仮に温泉を見つけたとしても…俺やユウトに覗かれたり、寝ている時に襲われる場合もある。 覚悟は出来ているか?」
「「「ん?」」」
3人は一瞬…思考が止まった。
そしてすぐに騒ぎ出した。
「自分はそんな事はしない‼︎」
「サクヤ、貴方とは一度じっくり話をしたほうがいいみたいね‼︎」
「サクヤ君…不潔です!」
俺は3人から冷ややかな目で見られた。
真面目な話や殺伐とした空気を和ましてやろうという…俺の心が理解出来んのか?
これで魔王討伐への旅の同行者が決まった。
後は…初っ端で挫けなければ良いのだがなぁ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます