コアラ

@abc45

第1話

朝ふと目が覚めると、身体が軽くなっていた。

僕は社会人の男性なのだが、体重はおよそ70kgある。はずなのだが、目が覚めた今はまるで体重が15kgのような感覚だ。

少し木のような匂いがする。それに、いつもと視界が違うような気もする。

ん?

「ひゅるるるる〜」

風が吹いている。ここは、森?だと思う。

それにこの木のような匂いの正体はまぎれもなく゛木゛そのものだ。謎が解けた。そう、朝起きたら僕は゛コアラになっていた。

「お… おい… おいってば」

後ろから声が聴こえた。振り返る。

「なに無視してんだよ?」

そこにはコアラがいた。日本語を話している。正直不気味だ。

「俺にビビってんのか?珍しいな。いつもは強気のくせによ。今日は産まれたての小鹿みたいだぜお前」

どうやら口調的に言えば、目の前にいるコアラはボス的な存在のようだ。

「今日も行くだろ?乗り込み」

訳が分からない。乗り込みとは何の事だろう。

「乗り込み?ってなんの事?」

目の前のコアラに聞いてみた。僕の言葉が通じるかは分からないけど。

「おいおい、嘘だろ?相棒、縄張り争いの事だよ。記憶喪失か?」

僕はこう答える事にした

「あぁ、そうだよ。」

その驚いた元相棒の顔を、僕は生涯忘れぬ事になるだろう。これは夢だ。いつか覚める。だから僕は、それまでにコアラの王になる事を心に決めた。

『これは、僕がコアラの王様になるまでの物語だ。』


ーENDー

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