第20話 決断
翌日……
俺はカナに選択肢の事について相談した。
「私も同じふうに思ってたよ。」
「それならよかった。」
カナも俺と同じ選択だった。
「でもダイスくんが私と同じ選択なんて意外だね。もっと召喚任務とかしたいって言うかと思った」
そう。カナには俺が召喚任務に行っていた事をまだ言っていなかった。おそらく俺が召喚任務の辛さを知らなかったらこの選択はしていなかっただろう。
「まぁね。俺もカナのこと考えて選んだから」
「あぁ、そうだっんだ! ありがとう!」
カナは笑顔でそう言った。
この笑顔久しぶりに見た気がする。出会った時以来かな。ずっと忙しかったし無理しちゃってたのかもしれない。
俺はカナの可愛らしい笑顔を見てとても嬉しく、さらにやり遂げた優越感に浸った。
そうして俺たちの選択は決まった。
転入式まで残り5日……
俺たちは選んだ選択肢を伝えに再び学院長室に向かった。
2日前にも見た光景だなと思いながら扉をノックし中に入る。
「はーい! 入りなさい!」
中からロイズさんの声で返事が聞こえ、扉を開ける。
そして1人ずつ名前を言った。
「医学魔法学院一年 ダイス・フロストです!」
「医学魔法学院三年 カナ・シトラスです!」
するとロイズさんは言った。
「もう選択が決まったのかしら?」
「はい! 病院を開く事にします!」
俺は大きな声で言った。
「わかったわ。私の父の代わりに病院を開いて頂戴。任せましたわ!」
ロイズさんはあっさりと俺たちの意見を認めてくれた。責任を感じる中、学院長室を退出するとカナが出た瞬間俺は話しかけられた。
「ダイスくん。ちょっと待って頂戴」
予想外の呼び出しに一気に心臓が苦しくなるような感覚が起きた。
「は、はい。どうされましたか?」
「貴方なんで召喚任務を選ばなかったの?」
ロイズさんはまるで俺が召喚任務に行った事がある事を知っているかのように話しかけて来た。
「僕が召喚任務に行った事を知ってるのですか?」
「もちろんよ。任務履歴に残っているもの。貴方の場合は向こうの世界からの召喚だったけど」
俺は一瞬驚いたが落ち着いて話をした。
「僕が召喚任務を選ばなかった理由は、体力の消耗が大きかったからです。カナのことも考えて違う選択をしました」
俺は包み隠さずロイズさんに伝えた。
「なるほど。わかったわ。なぜ貴方が召喚されたのかを知りたかったから少し止めさせてもらったわ。申し訳ないね」
「いえ。大丈夫です」
「次は転入式でお会いしましょう」
そうして俺は、学院長室を後にした。
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