第17話 批判殺到
学院長からの呼び出しで心臓が破裂しそうなほど緊張していた。俺たちは学院長室へ案内され一度大きく深呼吸をした後、軽くノックをし扉を開けた。
「失礼します!」
「どうぞ」
扉の奥から返事が聞こえ中へ入ると、そこには長い銀髪の髪を靡かせたとても強気そうな女性が椅子に座っていた。
シーンとした空間で緊張する中俺たちは自分の名前を言った。
「医学魔法学院一年 ダイス・フロストです!」
続いてカナも自分の名前を言い始める。
「医学魔法学院三年 カナ・シトラスです!」
2人が大きな声で自分の名前を言うと学院長が話し出す。
「はじめまして、医学魔法学院、大学院 学院長のロイズ・ダイアナです。わざわざここまできてくれてありがとうね」
そう彼女がこの二つの学院の最高責任者である。この女性は、母がこの学院を設立、父が王都最大の病院を設立、その間に生まれた貴族の子供である。
まるで生まれる前から将来が決まっていたかのようにどんどん優秀な人材になっていき、無事医者となることができた。ところが父が寿命で亡くなってしまい病院が買収されてしまった。そこで母はこの学院で病院がなくても医者として活躍できるようなシステムを作るため娘のロイズに学院長の座を受け継いだらしい。
見るからにとても強気なオーラを感じるこの女性は、魔法の腕がえげつないらしい。何があっても敵に回してはいけない。
年齢はおそらくまだ若い方だろう。20代後半くらいだろうか。
俺が、学院長をジロジロと見ながら頭の中で考えているとそれに気づいたロイズが話しかけてきた。
「ダイスさん? どうかしたかしら?」
「い、いえ! なんでもないです!」
「そう。それなら本題に入ろうかしら。ここに呼ばれた理由はなんとなくわかる?」
カナが申し訳なさそうな顔で喋り出す。
「おそらくですが、私たちが大学院へ転入をすることへの批判ですよね?」
「そう。今学院中からあなた達への批判が殺到しているわ。まあそれも仕方がない。実技も学科も出来ない一年と2年連続大学院を落ちた三年のパーティーがいきなり大学院転入なんで信じられないもの」
それも聞いた俺は落ち込んだ顔で言う。
「やっぱり、そうですよね」
するとロイズが立ち上がりハイヒールの歩く音が響く中話しはじめた。
「でも、この結果が出てしまった以上あなた達をいきなり不合格にすることはできない。だからしてもらう事はわかるわね?」
訴えかけるように言われた俺は張り切って返事をした。
「はい! 僕たちが大学院への転入が出来るほどの実力がある事を証明して見せます!」
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