私のお兄ぃがサキュバスに迫られて困ってます!
ランドセルとキッズ
お兄ぃはかわいいサキュバスに懐かれています!(1)
今日も今日とて我が家は騒がしいほどに賑やかで、たくさんの砂糖が入ったお菓子のような甘々な世界が広がっている。否、私の目の前で繰り広げられている。
「カ〜イトっ!いっしょにお風呂入ろっ♪」
「――ぶっ!?何言ってんだよ!女子と一緒にお風呂とか普通あり得ないだろ!!!」
「え〜。でも私はカイトとお風呂入りたいよ?
そ・れ・に♪カイトも私と一緒に入りたいでしょ?お風呂♪」
「全然入りたくねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉ!!!!」
クソやかましい絶叫がリビングから家全体にまで反響している。誠に遺憾なことではあるけれど、これがここ最近の我が家での日課となりつつある。
「はぁ……」
キッチンで夕飯の準備をしていた私は、嘆息しながら情けない兄へ助け船を出そうとエプロンを外しリビングへと向かった。
「そのくらいにしてあげなよ、リリムちゃん。それ以上やったら童貞のお兄ぃには刺激が強すぎて、鼻からの大量出血で死んじゃうから。お風呂なら私と一緒に入ろっ」
「つまり――、私と瑠璃ちゃんとダーリンの三人で一緒に入るって、こと?瑠璃ちゃんもダーリンと入りたかったの、お風呂?」
「うん、全然違う。入るのは私とリリムちゃんの二人でだからね?怒るよ??」
「ごめんごめん💦冗談だから怒らないで!
…じゃあ、ダーリンは私たちがお風呂上がるまでベッドでドギマギしながら待っててねっ♪」
私の兄は近頃――
「私のお風呂上がりの姿を見て、いつもトイレで慰めてるみたいだから、今日は私が身体で慰めてあげるねっ♪」
「ヤメロぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?この
――サキュバスに
彼女がこの家に来たのは現在から一週間前の六月六日。
兄である
学校帰りに近所の
まぁ、一旦ちょっとまって欲しい。冷静に。
そんなの普通にありえなくない?
ありえない、よね?
いや、ありえないでしょ!?
え……?何?舐めてんの?
妹がバカだと思ってからかってんの?
悪魔であるサキュバスが空から落ちきたとかありえないでしょ!天使とか機械とかエンジェ○イドとかならともかく、悪魔!?それも人の精気を吸うっていう淫魔?!
それに彼女全っっっっ然!!!サキュバスっぽくないんですけど!!?
サキュバスってアレだよね?男を誘惑して精気を吸い取るやつ!
私の兄の何処に誘惑するだけの価値があるの!?あんな引きこもりの陰キャ男子の一体どこに?
なにより気に食わないのは……
「大好きだよぉ、ダーリン♪」
「っ、…………」
なんで非モテの極みみたいなアレがあんな可愛い女の子にモテて、大好きだよぉ♡とか言われてんの!!???
いやいや、可笑しくない?だってただの引きこもりで陰キャの童貞だよ?童貞!!
高校二年になってもいまだに女子とまともに話したこともない童貞が、あんな可愛い子にモテるわけないじゃん!
そんな兄が目の前で可愛い女の子とイチャイチャしてるとか、流石にイラッとするんですけど!!?
それになんかあの満更でもない感じの間抜けな顔が余計にムカつく!デレデレしちゃってキモいんですけどッ!キモッ!普通にキモッ!!
……………でも……まぁ、べつに良いか。
実際のところは何もよくはないんだろうけど。それでも……
生まれてから一度も春が来てなくて、ずっと可愛そうだったし、お兄ぃが幸せならそれでいいよね。うん。そうしよう、そういうことにしとこう。
リリムちゃんは私の使っていないパジャマ(魔法で胸部のみサイズ調整したらしい…)を手に取り、私のもとへ可愛らしくスキップしながら向かってくる。
(かわいいなぁ、ちくしょうッ!!!!)
「それじゃあ、お風呂いこっ!瑠璃ちゃん♪」
「はぁ……そうだね、行こっか。じゃあ、お兄ぃは私たちがお風呂入ってる間に私の代わりに夕飯の準備しててね」
そう言い残し、私はリリムちゃんとお風呂場へと向かった。
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