第13話 役に立てたから



「とりあえず。弁償代は、翠羽みはねの魔法のお陰で大丈夫だから……無し!」


『! 私……お役に立てたのですか?』


「そりゃもう、すんごく!」



 琥珀こはくさんは首を強く縦に振ってくださったので……私は嬉しくなりました!


 国綱くつなさんのお役に立てたからです!!


 嬉しく思っていますと、国綱さんがゆるく微笑んでいらっしゃるのが見えました。



「ありがとう、翠羽。金のことはいいんだけど……直してくれて、助かった」


『いえ。……何も出来ないと思っていたので、嬉しいです!』



 国綱さんのお仕事を、まだよく知ってはいませんが。


『何でも屋』と言うのに、お役に立てたのでしょうか?


 まだ二回でも、凄い魔法だそうですが……私は『出来た』のですから。


 嬉しさが、あふれてしまいそうです!!



「んじゃ、次は翠羽の身体だ」



 琥珀さんが……昨日のように、水晶に『私』の姿を出しました。


 やはり、割れて私の顔はよくわからなかったですが……幽霊の私から見ても、『不細工』には見えません。


 琥珀さんが最初に言ってくださったように……『可愛い』かもしれません。それが嬉しいのかどうかはわかりませんが。



「……印?」



 しばらく眺めていますと……国綱さんがそうおっしゃいました。


 琥珀さんと覗き込むと、足の方に小さな光が集まっていたのです。



「んー? 昨日はなかったよな?」


「……蘇芳すおうで導きを一度でもしたからか?」


「あり得そー! 今度は壊すなよー? 翠羽泣くだろうし」


「……それは避けたい」



 と、昨日と同じように……国綱さんは水晶に手をかざしましたが、今度は両手。


 ゆっくりと息を吐きました。



「翠羽は向かい側に立って?」



 私にも何か役割があるようですので、琥珀さんのおっしゃる通りにしました。


 向かい側に立つことで、国綱さんの真剣なお顔と向き合うことに。とても、ドキドキしてしまいます。



【……見通せ】



 国綱さんのお声が。


 昨日、水晶を壊してしまった時と……また違いました。


 低く、透き通るようで……私をさらにときめかせてくださいます。


 しかし、動いてはいけないと思い直し……国綱さんの光る瞳を見つめながら、じっとしました。


 しばらくそのままでいると……水晶から、光の糸のようなものが伸びてきて。


 私の足……右足を通って、外に伸びていきました。



「ふーん? 案外近いじゃん?」



 琥珀さんは、糸を見ながら楽しそうに言っていらっしゃいました。



「……探してくる」



 国綱さんのお声と瞳が元に戻りました。どうやら……成功のようです。



「うん。いってらー」


「翠羽も行こう」


『はい!』



 私の身体……待っていてください!!

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