19



side. Kentarou







「ぁ…アヤト、綾兎先輩ッ…!」



好き、大好き、愛してる。


どんな言葉でも物足りなくて、

安っぽく聞こえちゃうけど。



バカなオレは、それぐらいしか知らないから。



ありったけの想いを込めて何度も先輩の名を呼び、

感情をぶちまけたら…







「ああッ、…けんた、ろっ…」



“アイシテル”



シンプルでいて飛びっきりの口説き文句を、

艶やかな声音に乗せて。







「あっ、ヤ…けんた────あアァァッ…!!!」



先輩はイッてしまった。








「くッ…綾兎先せんぱッ…あやっ……アぁッ…!!」



先輩がお腹に精子を放ったと同時に、

後ろの壁も、これまでに無い締まりをみせて。



オレの果てしなき欲望は、

夢にまでみた愛する人の体内で…


数ミリの薄い膜越し、惜しみなく注がれていった。










──────……




「ンッ……」



先輩の部屋、シングルベッドで身体を絡め。


心と身体…全てで結ばれた気怠い肌を重ね、


余韻に浸る。





オレの腕を枕に眠る、先輩の可愛い寝顔をじっくり堪能していたら…。


漸く目覚めたその瞼に、オレはキスを落とした。






「も…朝か…?」


「ん~ん、まだちょっと早いッスけど…。」



悪戯なキスを顔中に浴びせても、

寝ぼけてるのか、全然抵抗しない綾兎先輩。






「……寝れたか?」


「…まぁ、ぼちぼち。」



ウソ。眠るのが惜しくて、結局徹夜しちゃった。


当初とは理由が180度、変わっちゃったけどね。






「あ…」


目が合ったら逸らされた。

顔真っ赤にして…可愛いなぁ~。







「先輩、こっち…ね?」


耳に舌を這わせながら囁けば、お返しとばかりに先輩が呟く。







「…名前、もう…呼ばないのか?」


「…あ~…それはッスね……」



(エッチなコトいっぱいさせてくれたら、いくらでも呼びますよ…?)





「なッ…!!」



素面ではまだ恥ずかしいから、今は大胆な時にだけ。





「先輩こそ、もう呼んでくれないの?」


「ッ────…僕も、……だけだっ…!」



あんなに素直だった先輩も、

いつものクールな先輩に戻ってしまったけど。






「えへへ~。」


「なんだ、気持ち悪いな…。」



綾兎先輩はオレの恋人。

自信持って宣言するから。



もうこれからは、



遠慮しなくてもいいんだよね?







「先輩…もっかいイチャイチャしよ~…」


「ちょ、お前なんで朝から勃っ────」





おしまい♥️

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