6



side. kentarou





「待たせたな…退屈だったろう…?」


「ッ────…!!」



現れた先輩に、オレは秒で心奪われる。






(ヤバい、コレ、なに…)


先輩の、夏でも真っ白雪みたいな肌は…湯上がりでぽってりと上気していて。


水滴とか…汗とかが、ソコを滑り落ち。

相乗して、艶やかな演出を施している。




サラッサラな黒髪は、まだ湿り気を帯び。

片耳に掛けちゃってるとこなんて、そこら辺の女子の皆さんより色気ムンムン。


常に装着してる眼鏡が今は無いから。

色素の薄い切れ長な瞳が、直にオレを捕らえてるし。





加えてその格好。

もしかして、オレに合わせたチョイスだろうか…?


それは野球のユニフォームみたいな、スポーティーなデザインで。反して色遣いの、なんとも可愛らしい水玉模様。


暑いからか、第二ボタンまではだけたそこからは鎖骨がチラチラと覗いていた。


更に下は短パンで、すべすべな生足が…



こんなの見せられたら、封じ込めた下半身が目覚めるに決まってるじゃないか…。







「いっいえ…んなことないッスよ!」



落ち着け健太郎、直視はダメだ。


先輩はいつもと変わらない…オレひとり発情してどうすんだってんだ?



意地でも耐えろ…でなきゃ先輩との関係が、

ここで終わってしまうかもしれないじゃないか…。







「えとっ…そだ、先輩の部屋って可愛いですね!」


「?…前にも言ってなかったか、ソレ。」


「やっ!あ…ホラあのぬいぐるみとか、そのパジャマなんかも…なんとも愛らしいと言うか…」



当たり障りのない話題を振るも、カウンターを食らい…なんとか踏ん張るオレ。



がしかし、今日の先輩はどうも手ごわい。







(うおっ…─────!!?)



迷うことなくスタスタと近づいて来たかと思えば、


オレが座っているベッドの───…肩が掠るくらいの至近距離に、迷うことなく腰を下ろす先輩。







(ななっ、なんて無防備…!!)



「それは全て母さんの趣味だ。父さんがいない分、僕にペアグッズとか…色々買ってくるんだ。」



うちの中なら何も問題無いだろうと、先輩らしい回答を、しっかり語ってくれたりして。


いつもよりサービス良くないスか…先輩。





「あっ、そッスよね~…先輩がこういうファンシーなお店とか行ってるのって、想像つかないですもんね~。コレなんか───…」



出来るだけ先輩を見ないよう、意識しないよう心掛け。無駄にペラペラと喋り出すオレ。


あからさまにヘンかもしれないけど、先輩は結構鈍感さんだし。


平気だろうと高を括ってたんだが…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る